オットケテンゴヤ?

韓ドラの話題90%以上(好みの合わない方ゴメンナサイ)

【ネタバレ】韓ドラ『イ・ドゥナ!』/最終回をしっかり楽しむために、三つ編みの謎解き〜ラストもやもやした人、読んで!

 イ・ドゥナ観ました。高齢者男性の僕としては、おそらく自分はドラマのターゲットじゃないだろうなと思いながら観始めたんですが、いやーとんでもない、素晴らしいドラマでした!

 もうほんとに、ピュアすぎて切なくて、、、

 カサカサに乾いた僕の体ですら、ときおり目頭が熱くなるという反応をしてしまいました。僕の世代であのドラマを観て泣くというのは、そのピュアさと純粋さと切なさに泣くというのももちろんあるんですが、「自分がかつて持っていてたぶん二度と持てないもの」への切実な郷愁として涙がこぼれ落ちる、という反応のほうが強いかもしれません。

 自分がかつて持っていてすでに失ったものは、たとえば「人生に残されていそうな時間」とか「あんなに痛いほどに人を好きになる純粋さ」とかです。

 想像以上に、いいドラマでした。

 ただ、最終回モヤモヤした人もけっこういるみたいなので、どういうふうに観たらもっと楽しくなるか、僕なりの感じ方を書いてみます。

※以下、ネタバレ全開です

 

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いろんな所で言われてますが、ハッピーエンドでしょう

 僕個人としては、このドラマのエンディングがハッピーエンドなのかそれともすれ違いで終わったのかは、実はそんなに重要ではなくて、それよりもあそこに至るまでのウォンジュンとドゥナ、そしてさらにはウォンジュンとジンジュのそれぞれを想う痛切な気持ちを、とてもきれいな映像で美しく描ききった・・・という点でドラマとしてはすでに完結しているんじゃないかな、という気がしています。

 だから、どうとも解釈のつきそうなあの終わり方、実はとても余韻があって、美しく切ない終わり方で、あれはあれでとてもいいんじゃないでしょうか。

 あんなにまでストレートな気持ちを、みんな言葉にするのがヘタくそで、自分の気持を受け入れるのもヘタで、だから当然それを相手に伝えるのも、もどかしいぐらいヘタくそで、それでも気持ちだけは痛いほどにどんどん膨らんでいってしまう。それなのに相手の気持は全く見えてこない・・・もうね、観ていてほんとに切ない。

 しかしまあ、いろいろと言及されていますが、第9話の冒頭部分、コキアが生い茂る中で向かい合う2人のシーンが「真のラストシーン」ですよね。

 ドラマでは第9話のラストシーン、日本公演が終わったドゥナと日本に出張に来たウォンジュンが逆方向に歩いていって、ドゥナが一瞬振り返って別方向へと歩み始めて終わりますが、その後に続くのがやはり冒頭のシーンだと考えるのが自然だと思います。

 コキアのシーン、ウォンジュンがビジネス用のコート着てますからね。

 こういう場合の「衣装」って、間違いなく観客に対しての重要なメッセージで、重要なヒントです。「衣装」は必ず意味があってセレクトされるからです。撮影にあたってテキトーなものを着せるということは、絶対にありえないんです。

イ・ドゥナはイントロスキップしたらダメですよ、ヒントがいっぱいある

 ネトフリは「イントロスキップ」ボタンがあるんですが、イントロもドラマの重要な一部である場合が多いので、スキップしないほうが良いですよ。

 イ・ドゥナのイントロ映像は、2人が出会ってからの流れを時系列的に、フラッシュ映像でつないでいく構成となっています。(キャプチャ映像貼るとわかりやすいんですが、それやると著作権の侵害になるので、皆さんご自分のデバイスで確認してみてくださいね。)

 イントロの真ん中あたりで、ドゥナが一人で列車に乗ってどこかに向かうシーンがほんの一瞬挿入されています。気づいた方も多いかもしれませんが、その時の衣装が、第9話の冒頭のコキアのシーンの衣装と同じなんですよね。大きなつば付きのチェックのキャップをかぶって、ダンガリーっぽい生地のトップス着て列車に乗ってるんです。

 で、「列車に乗っている」ということは、明らかに「目的があってどっかに向かってる」わけですから、これはコキアの茂る公園(か川べりか)で待ち合わせしてたと考えるのが自然です。コキアの前で出会ったときのドゥナの目は、「恋する純粋なドゥナ」の目だと思います。

 そして、その「列車に一人で乗るドゥナ」の映像の直前は、2人のいちばん大切な思い出となってるはずの「逃避行先での自転車」のシーンなので、その思い出を胸に列車に乗っている、という流れにしたかったんじゃないかな、と思います。

 ああいう、映像の編集ってこれもまた絶対にテキトーにつなげたりはしないので、何かしらのメッセージがあると思って観たほうがいろいろ面白い場合多いですよ^^

 しかも、あんな「コキアが茂る公園だか川べりだかどこか知らないけどどこか」で偶然ばったり会うなんてありえないですからね。あのときの2人のあの落ち着きようは、明らかに「待ち合わせ」ですよねーーーーって感じです。ウォンジュン、照れくさそうに少し笑う方向に顔の筋肉が動きますからね。ほんと、演技が上手い!

 まあ、順当に考えればあれは「日本のどこか」で待ち合わせしてるんじゃないでしょうかね?断言はできないですけど。

イ・ドゥナのイントロ映像、謎の三つ編みに込められた意味は?

 これ、みんな不思議に思ったんじゃないでしょうか?イントロのラスト近くでドゥナちゃん三つ編みにしてるし、すごく笑ってるし。でも本編で三つ編みにしてるシーンなんか一切ないじゃないですか。

 ・・・でね、解説する前にいちおうエクスキューズ的にちょっとだけ書いておきますと、僕は広告を作る仕事をしていたので「撮影」の現場はものすごくたくさん経験してまして、しかも僕がクリエイティブ・ディレクターだったので、僕のOKナシには物事が進まない、というポジションやってました。

 その経験から言いますと、ヘア/メイクと衣装って決定的に重要で、ヘアメイク衣装の3点セットはどんな場合にも絶対に「意図して作る大きなメッセージ」です。どんな小さな撮影でもヘアメイクと衣装をおろそかにすることはありませんし、ましてやテキトーに済ませることなんて100%ありません。

 つまり何を言いたいかというと、あの謎の三つ編み、現場のヘアメイクさんが「こんな感じでやってみましたけどどうでしょうか」って出してるものでは、絶対にない、ということなのです。あそこまでドラマの世界観と全く違うものを表現するからには、必ず監督/ディレクターのコト細かな指示があるはずです。

 じゃあ、監督はあの三つ編みを通して何を表現したかったんでしょう? しかもドゥナちゃん、本編で見せたことないような笑顔ですごく笑ってますし・・・

衣装とセリフとメイクから読み解ける、三つ編みに込めたメッセージ

 まず、あの三つ編みのシーンの場所ですが、第8話でウォンジュンと訪れた海ですよね。その第8話の海のシーンで、ドゥナは「できるだけ平凡で普通のものが好き」という、意外とも思えるセリフを言っています。ウォンジュンと2人きりのあのシーンで変な嘘をつく必要もなく、逆に、「平凡で普通なもの」が何一つない世界で生きてきたからこその、リアルな気持ちだったのではないでしょうか。

 で、衣装とメイクに着目すると、ドゥナが「自暴自棄になってどん底から這い上がれなかったとき(つまり芸能界にも未練はあったがどうにもその気持ちも断ち切れず、でも無理だと思い、Pに捨てられたという気分になってた時期)」は彼女の衣装、基本的に脚が常に素足丸出しで、へそもほぼ丸出し。簡単に言うと、「自暴自棄のドゥナは露出度かなり高め」の衣装、という記号なんです。

 撮影は冬だったそうですから、「自暴自棄」の記号としての「露出度高い」衣装は大変だったんじゃないかなー・・・

 で、本編中に一度だけドゥナちゃんが普通の格好をしていたときがあって、それはどこかの田舎への2人の逃避行のときですね。あのときは、普通にデニムをはいて、なんと胸に「LOVE」って刺繍のある可愛いセーター着てますからねー!

 つまり、ウォンジュン大好きでウォンジュンと一緒にいて静かな幸せを感じているときは、ドゥナちゃん露出度ほとんどゼロのコスチュームなんです。

 もう一つ、メイクに注目すると、「自暴自棄」時代のドゥナちゃんは、基本アイライン強めで、目ヂカラ強調になってます。で、ウォンジュン大好きモードのときは、もうすこしナチュラルっぽい感じの仕上がりにてるケースが多いようです。

 で、そうしたことから三つ編みの謎を解いてみると・・・・

 あのイントロの三つ編みシーンは、「できるだけ平凡で普通のものが好き」とウォンジュンに告白した海辺で、「三つ編み」で「デニムはいて」、しかもトップスに至っては「スタジャンみたいの着てる」・・・と、正直かなりダサめの作りなんですよね。

 でもこれ、ものすごく「平凡で普通」じゃないですか!

 メイクなんか、一瞬別人かと思えるぐらい普通な感じで、しかも劇中では全く見せることのない屈託のない笑顔で大きく笑ってます。

 だからあのシーンから読み取れることは、ドゥナがいつかなりたいと思っていた「とても平凡で普通」な自分に、ある日とうとうなることができて、仲間たちに本当の友達として受け入れられた、というメッセージなのではないかなと思います。

 もうひとつ、あの衣装とメイクは「ウォンジュン大好き幸せモード」のときのドゥナちゃんの記号なので、少なくともとても幸せなイメージの表現だと思います。

 もちろん、それらのことがドゥナの心の中で起こった心象風景なのか、それとも何年後かの実際のこととしての表現なのかはわかりません。ただ、ウォンジュンが明らかにおでこを出したヘアスタイルになっているので、もしかすると「何年後」かの出来事を想定しているのかもしれませんね。韓ドラ観てる人なら解ると思いますが、「前髪おりてる男子」はまだ少年の延長、「前髪上げた男子」は大人ですからね。(そしてドラマの中のウォンジュンは、ずっと前髪下ろした男子です)

 で、結局のところ、第9話でドゥナが「今は自分が好き 最高に調子いい」というセリフを泣きながら言いますが、これはおそらく本当のことで、仕事が自分の思うようなイメージでとてもうまくいっていて、完全に生まれ変わったんでしょうね。

 しかしその一方では「とても平凡で普通」を愛する自分との折り合いもついて、「平凡ではない仕事」と「平凡が好きな本当の自分」との両立が可能になった、という素晴らしいメッセージが、あの三つ編みだったのではないかと僕には思えます。

 そう考えると、このドラマはイ・ドゥナが愛によって再生し、自分を発見していくというドラマなわけです。だからタイトル「イ・ドゥナ!」なのでは・・・?

 で、蛇足ですが、イントロのいちばん最後、ドゥナとウォンジュン2人で並んで海を見てますよね。あのイントロが仮に「時系列」を意図して作られているものだとしたら、やっぱりハッピーエンドですね^^

 まあ、監督も「この作品を見て、幸せな気分になってほしいと思います」って明言してますしね。・・・でもあの短いイントロ映像に込めたメッセージ、ちょっと多すぎませんか?笑

スジちゃんが人類史上最強クラスにかわいい

 いやー、スジちゃん可愛すぎてびっくりしましたねー!ほんと、人類史上最高にかわいいんじゃないでしょうか笑

 で、このドラマ、まあ3回は泣きますね笑

 1回目は、ジンジュがウォンジュンに泣きながら告白するシーン。

 2回目は、ドゥナが絞り出すように言う「サランヘ」

 3回目は、ドゥナのこころの叫び「後悔したと言って!」からの「会いたかった・・・!」

 ということでまあ、フィリピンでマネーロンダリング資金洗浄)するドラマ(シスターズ)を見た後に、お金ではなくて心がきれいに洗われる、とても良質なドラマでした。僕が女性なら、たぶんヤン・セジョンにメロメロになりますね笑

 ヤン・セジョンさん、実年齢より10歳近く若い役を演じるために、ヒゲのレーザー脱毛とかしたらしいですねー!現在の実年齢31歳とは思えない、あのイノセントで誠実そのものな感じ、本当に上手い役者さんだと思います。

 キムサブのファーストシーズンに出てたときは、すごくとんがった感じの役柄だったんですけどね。本作では、なにしろ彼が抜群に良かったのが、没入度かなり高くなった大きな要因かな、とも思います。

 

★ドラマの得点 13点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

【韓ドラ】シスターズ/謎が謎を呼ぶ傑作!いったい誰が味方?

 サスペンス系の韓ドラは本当にレベルが高くて、「元・映画大好き高齢者男性」の僕が観ても、これまでに全く体験したことのないストーリーやどんでん返しを見せてくれる作品がとても多いです。

 まあそれはおそらく、作品のクオリティの高さの問題だけじゃなくて、僕個人の好き嫌いの問題ではあるとは思うものの、それでもサスペンス系韓ドラでメッチャ面白かった!!!って思ったのをサラッとあげてみるだけでも、こんなにある。

 ・99億の女 ・ボイス〜112の奇跡〜 ・秘密の森 ・誰も知らない ・悪の花

 ・サバイバー/60日間の大統領 ・ペーパーハウス・コリア ・シーシュポス

 どれもこれも死ぬまでにもう一回観てもいいと思うぐらい面白かったんですが、いやー、「シスターズ」、またまたこれ、本当に凄い作品でした!

※以下、ネタバレありません※

 

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たぶん本作は、巻き込まれ系サスペンスの最高峰

 古今東西、映画やドラマを問わずサスペンスの王道の一つに「巻き込まれ系」というジャンルがありまして、なんか知らないけど主人公がふとしたことから変な事件や陰謀に巻き込まれて、物語の「起承転結」の「転」にあたる部分で「巻き込まれた事件との意外な関連」が明らかになったりするわけです。

 で、主人公は戦う以外に選択肢がないので、ひたすら戦い続けて、最後にはヘトヘトになりながら勝利を収めるという、まあ「ダイハード」の1作めがその見事なテンプレートと言って良いかもしれません。

 それ以来、世界中でものすごく多くの「巻き込まれ系サスペンス」が生み出されまして、僕も嫌いじゃないのでけっこうたくさん見ましたが、本作『シスターズ』が、この「巻き込まれ系」の最高峰なんじゃないか、と思えるほど見ごたえがありました。

 なにしろ、ストーリー展開と、全体の構成が抜群。見れば見るほど、「いったい誰が味方で誰が敵なのか」がまったく分からなくなってきます。しかも、「ダイハード」的なテンプレは一切なし。なんなら、何に巻き込まれてるのかさえ解らなくなってくる!

 ストーリーの序盤で「こいつは敵」と確定できるのはほとんどただ一人だけで、あとはいったい誰がどんな損得勘定と利害でどんなことを考えて、本当は何が目的なのかがものすごく巧妙に隠されているんです。誰と誰がどうつながっているのも、とても巧妙に隠されています。

 最初はとても些細な小さなことからストーリーが始まるんですが、それがよくわからないうちにとても大きな陰謀のまっただ中に放り込まれた形となり、そしてあらゆることが謎となり、一つの謎が新たな謎を呼んでいくスタイルで進行します。

 本当に、誰と誰が信頼できるのか最後まで全くわからないんですが、バラバラに見えたパズルのピースが見事に最後はピタピタと収まって、物語が収束します。その展開とストーリー構成が本当に素晴らしい!

そもそも主人公、いったい何の陰謀に巻き込まれているのか分かってない

 主人公役のキム・ゴウンさん、僕は初めて見ましたが、さすがに演技上手ですねー!とんでもない陰謀と事件に巻き込まれて、彼女にとって命懸けの展開になっているにもかかわらず、彼女はおおむね困惑した表情を浮かべてストーリーが進んでいきます。その表情は、実は我々視聴者の表情でもあるわけで、ほんと見事にきれいに、観ている我々を徹底的に騙してくれます。

 彼女は、ある人物の自殺の真相を知りたいと願っただけなのに、いつしか信じられないほど壮大な渦に巻き込まれて、もうまったく身動きもできなくなり、もう誰が味方で誰が的なのかさえわからない状態がしばらく続くんですが、もちろん我々もそうなります。

 毎回毎回、エンディングで「マジかーーーーーーーーー! いや、マジか・・・・・・・!」の声が出ましたよ笑

 僕なんか、「結果的に最も害のなかった人間」にさえ疑いの目を向けてました笑

ラスボスの壊れ方が異常で怖い

 ラスボスは最終回になる前に「いやこの人相当おかしいよね」って気付けるような構成になっているんですが、ラスボスであることが明らかになってからの壊れっぷりがマジ怖かった!本当に演技が凄い!

 全体にストーリーが複雑でわかりにくかったという感想も目にしますが、実際にはそうでもなくて、ストーリーは簡単に言うと

 「三姉妹vsその他の登場人物全員」

という構図で、じゃあ「その他の登場人物」の中で味方は誰で敵は誰?みんな何考えてこんなことやってんの?ってところに焦点を当ててみてれば、そんなに分かりにくくはならないんじゃないかな?

 ただ、三姉妹が一致団結しているわけではないので、それぞれの思惑が絡み合って複雑に見える場面もありますが、「三姉妹と他の人」という構図で観てればおそらくわかりやすいスジじゃないかな、と思います。

画面構成もきれいで、まだ観てない人には是非オススメ

 サスペンスなので当然人が死ぬドラマなんですが、グロのきついシーンはあまりなくて、血が画面上にドバドバ溢れてたりもしません。それよりも画面の画作りがとてもきれいなシーンが多くて、作品の展開上、ゴージャスな装いをした女性もたくさん出てくるんですが、衣装はとてもきれいだと思いました。

 ・・・ただ、サスペンスなので当然全体のトーンとしては陰鬱なので、「うわーきれい♡」という心境で観られるわけではありませんが笑

 ツッコミどころもけっこうあるんですけどね。「韓国に警察はいないのか?」とかね笑 でも、そんなことが些細に思えるぐらい展開の完成度が高くて、没入感マックスで観られる作品でした。「イ・ドゥナ」とか「シーシュポス」みたいに最終回のもやもやもないですし笑

 イ・ドゥナの最終回については近々書きますね。あれは完全なハッピーエンドで、その証拠もいくつか提示されてるんです👍

★ドラマの得点 13点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

 

 

【韓ドラ】九尾の狐とキケンな同居/ラブコメ大好き♡何回でも見たい

 韓ドラ楽しむなら、やっぱりラブコメたくさん見たほうが良いですよね♡

 僕、高齢者男性、ラブコメけっこう大好きです。でも僕の場合、ドラマを見てて「胸がきゅんとする♡♡」とかになったら、それはたぶん心筋梗塞心不全なので、かなりまずいです笑

 僕は韓ドラデビューした後、だいたい人死にの出るドラマばかり見ていたんですが、本作はWOWOWで放映されたときにリアルタイムで観ました。(僕のサブスクはネトフリとWOWOWが定番、あとみたい番組によってDisney+)で、僕的には本作が韓ドラ・ラブコメのデビュー作品です。

 いやー、期待以上にすげー面白かった

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なにしろチャン・ギヨンの仕上がり具合が素晴らしすぎる!

 いやー、チャン・ギヨンさん美しいわー!人間?????って思うほど美しい笑 まさかチャン・ギヨンのファンで本作まだ観てないという方いらっしゃったら、それはもう大変な損失なのでぜひぜひ観たほうが良いですよ。

 チャン・ギヨンってたぶん、こういうコメディ路線のほうが持ち味出せるんじゃないかな?ちょっとした表情の作り方とか、「999歳の九尾の狐」設定なのに口喧嘩が幼稚園児並みとか、そういうときの演技がとてもうまい!

 そしてあの顔面天才ぶりですから、「胸きゅん」のラブシーンでもハマり方が(あたりまえですが)抜群なんですよ。

 ヘリちゃんとのケミもメッチャ良かった!もう、本当の恋人同士にしか見えないぐらい。ヘリちゃん本当に可愛くてキュートで、僕高齢者男性、完全に魂持っていかれました笑 ヘリちゃんもコメディエンヌとしての才能がなかなか凄くて、爆食いするシーンの吹っ切れ方(口の大きさと食べっぷり)とか、注目シーンがかなり多いです。

「オルシン、チョアエヨ!♡」来ましたーー!

 まあラブコメなので2人がくっつきそうになりながらその都度高いハードルが現れたりして、いわゆる「恋になりそうで恋に発展せず、しかし恋になりたい気持ちもあるけど躊躇もするけど最終的に恋になる」というあたりをあの手この手で繰り返すわけですが、いやーそのあたりも面白かったわー!

 あと、韓ドラあるあるの「最終的にどうしても超えられそうにない超難しいハードル」の設定もすごく上手で、「え??ラブコメだから最終的にうまくいくんだよね???」と思いつつもかなりハラハラしながら見れました笑

 なかなかね、全体的に画作りもすごくきれいだし、ストーリー展開のメリハリもさすがだし、オルシンとヘリの2人の気持ちの揺れ動きとすれ違いの描写も素晴らしかった。要は、韓ドラの「エンタテインメントの底力」が凄いレベルなので、こういうラブコメ撮ってもめっちゃクオリティが高いわけですね。

 あとね、断片的な話にはなりますが、韓ドラあるあるの「男性がキムチ作るシーン」がしっかりあって、チャン・ギヨンがすげーかわいいエプロンしてキムチ作るシーン、そうとう面白いです笑

カン・ハンナさんもとても美しかった!

 カン・ハンナさん、いい俳優さんですねー。「知ってるワイフ」「サバイバー 60日間の大統領」にも出演されてましたが、それぞれ全く違う佇まいで、しっかり役になりきって演技が上手い!今回はカン・ハンナさんのコスチュームがすごくきれいで、どれもこれも超美しく着こなしていらして、素晴らしかった!

 最終盤で、カン・ハンナさんが腕でぐいっと自分の顔を覆って号泣するシーンがあるんですが、いやー危うくもらい泣きするところだった笑

 とにかく本作は誰もが安心して見れて、とてもたくさん笑えて、もちろん分かりにくい部分なんかはまったくなくて、観終わった後にも「ああ良かったーーーー」って幸せな気分なる、超良作でした。

 生きてる間に、もうあと2〜3回観たい笑

 

★ドラマの得点 15点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

【韓ドラ】ペーパー・ハウス・コリア: 統一通貨を奪え/ひたすら衝撃的に面白い

 どうでもいい話ですが僕はけっこうな高齢で、しかもこれまで映画がとても好きでアクションやサスペンスはかなりたくさん見てきたため、「サスペンス系」のドラマの採点はなんだか無意識のうちにシビアめになることが多いんです。

 が、しかし本作「ペーパーハウスコリア」は衝撃的に面白かった!

 韓国のサスペンスは本当にレベルが高くて、「悪の花」とか「Voice」とか、純粋に「今すぐ次見たい!!!!」になる作品が多いと思います。

 中でも「ペーパーハウスコリア」は、これまで見てきた韓ドラサスペンス系で一番好きかもしれません。※以下ネタバレありません。

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先の読めない展開の連続、毎回「えーーーーーー!マジか!!」で終わる

 本作の魅力は、キャラクター配置の見事さと、全編に渡ってスピード感のある衝撃的な展開、さらには主要キャラの人物もそこそこ掘り下げて描いているところ。そして何より、隠し玉のどんでん返しが実に巧みであることです。「どんでん返し」とは、つまりは見ている我々をいかにミスリードしていかに視聴者を騙すか、ということなんですけど、これは見事に気持ちよく騙され続けます。

 なので、確実に「えええええ!!!!!!マジで?????」が毎回持続します笑

 それを可能にするのはやはり、みなさん演技が抜群に上手なんですよ・・・!誰か一人でもその役になりきれてない人がいたりすると、とたんにドラマのリアリティってなくなってしまって没入感も激減するんですが、本作は韓国ドラマならではの演技のクオリティの高さが素晴らしい!

 強盗団のリーダーの知的でクールな感じ、対する捜査の陣頭指揮を取る交渉人との緊張感あふれる対峙、そして強盗団の面々も役者が揃っていて、直情的なタフガイ・力持ち・超クールで強い(けど美人)の女、謎が多すぎる現場のボス役、天才ハッカーなどなど、それぞれキャラの配置も抜群なんですよね。人質の中にも、自分の事だけしか考えない人間のクズとか、逆にストックホルム症候群になりそうな人、あるいはいつも何かを企もうとする美少女(そして彼女は米国大使の娘)などなど、とにかく登場人物全員がキャラ立ちしてて、なかなか複雑な筋立てなのに、ドラマの進行がとてもすっと入ってきます。

 そして、強盗団も人質も、当然のようにそれぞれ仲間割れもするし笑

 そうなると、いったい誰を信じて誰とどう行動するか、という問題も生じてきて、それは果たして計画全体の実現にとってどうなんだ、というより高次の問題も発生してしまう。いろいろ小さな計画の狂い、想定外の出来事を、リーダーの「教授」はいったいどう修正していくのかも見どころ。

 「人質は絶対に殺さない、一人も犠牲を出さない」というコンセプトで開始された造幣局への立てこもりは、はたしてどう展開していくのか・・・!手に汗握るとはまさにこのことで、手汗かきます、本当に笑

いわゆる密室の舞台設定なんだけど、「教授」が外にいるため動きがある

 物語の大半が「立てこもっている造幣局の中」で進んでいくので基本的には密室劇っぽくなるんですが、リーダー役の「教授」が実は外部から指示を出していることで、動きと展開があって物語に大きなメリハリがつく構成となっています。

 密室劇の場合、映画「レザボア・ドッグス」のように、密室にいる人々の人間関係がどうしようもなく煮詰まっていくものですが、本作はそのあたりの描き方も抜群。その煮詰まっていく人間関係も見ていて絶望的な感じになってきますし、いったいどーすんのこれ??ってなってきます。

 その密室劇パートももちろん極上なんですが、外でリーダーの「教授」が動いて問題の収拾にあたる動きも、ハラハラドキドキ。

 「よく練られた強盗計画」的なプロットとしては、映画の「オーシャンズ」シリーズが思い出されますが、「オーシャンズ」は超クールな二枚目スターたちが超クールな顔して超クールにミッションを完璧にこなしてく・・・みたいな感じなんですが、本作はそれとは真逆。超人間臭い強盗団たちが、なんかみんなアツくなったり怒ったり泣いたりしながら、想定外の事態を激しく積み重ねていく。それを外部にいて修復しようとする教授も必死で、もうとにかく毎回ギリギリなんですよ。

 面白くないわけないよね笑

 とにかく、クライム系サスペンスだから「強盗団」が主役なんですが、最後の最後まで「これ強盗団が勝つの?それとも捜査陣の勝利?」ということすら読めなくて、本当にラストまでノンストップで楽しめます。

とにかくね、第1話のラスト約17分がもう衝撃的ですから

 本作はよく知られている通り、スペインの大人気ドラマ「ペーパーハウス」の韓国版リメイクですね。僕は韓国版を見た後にスペイン版を見始めましたが、韓国版のほうが遥かにテンポが良いしキャラ立ちしてるしで、スペイン版は途中離脱となりました。(スペイン版トーキョーのキャストがそれほど僕には魅力的ではなかったのもある・笑)

 そして韓国版の第1話のラスト17分ぐらいがもういきなり衝撃的!これでもう一気にドラマの世界に引きずり込まれます。「ええええーー!!」じゃなくて、「おわーーーーー!!!!!!」と声が出る驚きの展開笑

 ここの部分、本家のスペイン版では設定的にそれほどのインパクトがなくて、なんとなくスルッと通り過ぎてしまう感じに作られていて、やはり韓国ドラマはメリハリのつけ方が抜群に上手いよね、と感じ入った次第です。

 あと本作の魅力としては、真っ赤なコスチュームとお面ですね。このあたりの舞台設定が非常に上手なんですが、これは本国スペイン版の企画立てた人が素晴らしかった。人質にもまったく同じ格好をさせるので、警察はおいそれと突入ができなくなって、膠着状態へと突き進んでしまうわけです。

 膠着状態は教授の計画の一番のキモで、さて強盗団は造幣局に立てこもって何をしてるんでしょうか?

 強盗団はそれぞれを世界の都市の地名で呼び合うところも舞台設定として面白いですよね。これも本国スペイン版どおりで、これはアイディアが素晴らしかった!

 でね、個人的にはトーキョーを演じたチョン・ジョンソさんが、まあなにしろ美しい!すげー美しい!あと、ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜/ドラマのリアリティとは? でも書きましたが、後半重要な役どころで出てくるイム・ジヨンさんが凄い!彼女が画面にいると、全部持ってっちゃいます。きれいだし、なにしろ顔が凄いのよ笑

 

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★ドラマの得点 12点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

 

中国ドラマ『摩天楼のモンタージュ』/大傑作!の作品を理解するたった一つの鍵

 韓ドラではないんですが、華流の「摩天楼のモンタージュ」。これはある意味とても斬新な手法で構成されていて、スッと見てるだけだと辻褄が合わない部分がたくさんあって、混乱するんじゃないかなー・・・と思うんですが、見た人みんな大丈夫でした?

 僕が見ているときは、途中まで何が起こっているのかよくわからなかったんですが、どう見れば良いのかが分かってからはすごく面白くて、結局3周もしてしまいました。見れば見るほどディテールに細工が施されていて、伏線も全部回収されてますし、素晴らしい構成のドラマだったと思います。

 

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今回はネタバレなしで。ぜひ多くの人に見てほしい

 作品のキャッチコピーが、「なぜ 私は 死んでしまったの?」・・・ここから分かるとおり、本作はミステリーで、中心をなすダイレクトな筋としては、「誰が犯人なんだ?」という話ではあります。

 しかしその描き方がとても斬新で、「いったい今我々は何を見せられているのか?」が分かっていないと、全体にまったく一貫性がなく、話がバラバラで、あまり面白く感じられない人が多いんじゃないかな・・・?

 作品の冒頭、もういきなり主人公が死んだ状態で発見されるんですが、これが何かの事件なのか自殺なのかすらわからないところから物語がスタートします。そして、2人の刑事(くたびれた中年刑事と若い女性刑事)が、関係者や知人に事情を聴取していく、という形で物語が進行します。

 でも毎回毎回、ドラマの内容が、前回とのつながりがほぼわからない、という形で進んでいくわけです。だから、見ている我々としては、「ある大事なこと」に気づかないまま見ていると、かなり分かりにくいんです。

 しかしながら「ある一つの大切な鍵」に気づいて、それを理解した上で見ていくと、これは本当に登場人物の人生や心情をとても丁寧に描いていることもわかりますし、さらには、その彼らの人生に呼応していく刑事2人の演技がとても悲しくて、本当に素晴らしい仕上がりでした。

 ではその「鍵」とはいったい?・・・いや、気づいてる人もとても多いとは思うんですけどね笑

 

本作は、参考人たちの「供述」をそのまま映像化している!だからそこには、たくさんの嘘も含まれるし、辻褄が合わない!

 ドラマを見るときの視聴者の心理状態として、「見せられている映像」を真実のものとして受け入れながら見ていく、というのが一般的なものだと思われます。

 しかしこのドラマは、「映像として見せられているもの」が、つまりは事情聴取を受けている参考人たちの「供述の内容をそのまま映像化している」んですよね。

 そうなると、彼らは自分なりに「隠しておきたいこと」や「守りたいこと、守りたい人」がいるために、本当の供述をしない場合が多々あるわけです。だから本作の映像は、「実際に起こったこと」を見せられているのではないんです。なかには、事件と全く関係のない供述をしている人までいる。(その、事件とは全く関係のないことすら、丁寧に映像化しているわけです。)

 だから見ている我々としては、「どれが嘘でどれが本当なのか」がさっぱりわからない(けど考えさせられる)ため、エンディングのOSTが流れると、毎回「えーーーーーーーーっっっっ!!!」となって終わります。

 誰がどこまで本当のことを言っていて、誰がどこまで嘘をついているのか、そしてなぜそんな嘘をつく必要があったのか、、、これらは最終回ですべてきれいに回収されて、理解できる形で提示されます。

 あまりに悲しい物語すぎて、本当に泣けます。

 

刑事2人の演技と毎回エンディングのOSTが素晴らしい!

 ずっと見ていくと、この作品の主演は刑事2人なのではないか、と思えてくるほどの存在感です。まあ、毎回必ず出てくるのがこの2人なので、徐々にそう見えてくるのも当たり前かもしれませんが。

 どっちも、ドラマによくありがちな「切れるスーパー刑事」でもないし、メッチャ推理働かせる系でもないし、ましてやアクションシーンなんて一切ありません。

 2人ともどっちかというと静かで、なんならダサ系で、やっていることといえば、参考人の話を丁寧に丁寧に聞いていくだけ。本作では供述する側の思惑がいろいろとあるため、供述ごとの矛盾点がとても大きいんですが、それでも彼ら2人は地味に聞いていくだけ。

 でも、最終的に、「ずいぶん前に聞いた、ある供述のたった一言」の大きな矛盾に気づき、事件が一気に解決へと向かっていくのですが、ここは何度見ても「おおお!!」と、ゾワゾワします笑

 とくに印象的だったのが、女性刑事役のヤン・ズーシャンが最終回で見せる、「大きな悲しみを深く秘めた眼差し」です。ほんと、演技が上手い!あんな眼差しのできる俳優さんって、そんなにいないかも。。。

 あとねー、エンディングのテーマソングがほんと素晴らしいんっすよ!

 さっきも書いたけど、毎回毎回「えええええ、どうなってんのこれ??」ってなったところで、一泊おいて♪♪♪You & I♪♪♪って曲がかかって、「ええええええええ!!!!」で終わります笑

 ミステリー系のドラマはやっぱり、毎回「えええええ!!!!????」で終わってくれないとね笑

 

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 この曲聞くだけでもう泣きそうです。

 

★ドラマの得点 13点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

韓国ドラマ『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』/ドラマのリアリティとは?

 もうだいぶん前に見た作品だけど、「ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜」は、ドラマのリアリティについて考えさせられる作品でした。

 「リアリティ」とはもちろん、「僕にとってのリアリティ」です。それは、僕がこれまでの人生で経験したことや感じたことに全面的に依存するわけですから、「あなたにとってのリアリティ」とはかなり違う、ということが前提となります。それをあらかじめご了承いただけますと幸いです。

 

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ドラマのリアリティを支えるものって、なんだろう?

 ドラマのリアリティを考える際に、「空を飛ぶ超能力を持つ人」が出てきたり、「悪霊を退治する、ダサめの赤いジャージを着たおばさん達」が出てきたり、あるいは「19回生まれ変わったり」という、【ありえない設定】が出てきたときに、「いやそれ全くリアリティないじゃん」と感じてしまう場合、楽しく見られるドラマの幅がかなり狭くなってしまうので気の毒だなあ、と思います。

 だって、ドラマってまず設定ありきですからね。

 999歳の九尾の狐が超絶顔面天才だったりとか。主人公クラスのキャストは、敵がどんなに機関銃を打ってもほぼ命中しないし教授はほとんどすべてを見通してるとか。子供の頃に交通事故にあった財閥の御曹司はスーパーイケメンで仕事も完璧とか笑 書けばキリがない笑

 上記、分かる人は分かるそれぞれのドラマ、僕はどれも没入感マックスで楽しんだ作品でした。

 いっぽうで、「トランシーバーで過去からの声が聞こえてくる」とか「サイコパス童話作家」とかは、僕には全くリアリティが感じられず、途中離脱になってしまってます。どちらも名作の評価が確定してる作品なのに。あと、「幽霊たちが利用するホテル」も途中で諦めちゃった。・・・IUちゃん大好きなのに笑

 こう考えると、「作品のリアリティ」は、出てる俳優さんの好き嫌いじゃなくて、演じてる役柄の好き嫌いにけっこう左右されるのかな、という気がします。あとは作品の描く世界観が好きか嫌いかですよね。うーん、そこが大きいのかな?

 まあ、人生の大半のことはだいたい「好きか嫌いか」で決まるんですけどね笑

「ザ・グローリー」はヨンジンの演技を楽しむドラマだった

 で、残念ながら「ザ・グローリー」は僕にとってはリアリティがまったくなくて、まあ高評価多いから完走してみた、という感じになってしまいました。

 わりとどうでも良い話になりますが、僕にはザ・グローリー並に「恨んでもおかしくない人間」が一人いまして、そいつのせいで仕事も金も社会的な微々たる地位もすべて奪われて、僕の人生は一旦ズタズタに引き裂かれ、ボロボロに壊されてしまったわけです。まあ、裁判を絡めていろいろ騙されたわけですが、本当に、普通の人間として普通に最低限の暮らしを営めるように立て直すまで10年かかりました。

 その10年は本当に本当に大変で、あいつのことを恨んでる余裕さえなかった。

 当初は恨んで恨んで必ず復讐してやりたい、と一瞬思ったんですが、そのようなマックスにネガティブな感情を抱えながら生きていくのって、本当に苦しいんですよ。自分がどんどん駄目になっていくし、どんどん苦しさだけが増してくる。

 そうなると、いみじくも「マイネーム」でピルト君が言っていたように、「人を恨んで生きると殺人鬼みたいな顔つきになる」っていうのは、本当のことなんです。恨みを抱えていると、ものすごい顔つきになってくる。

 だから、ソン・ヘギョさんみたいに美しい顔のまま年齢を重ねていくことなんて絶対にできない、と身に沁みて知ってるので、その時点でもうドラマのリアリティが僕にとってはゼロなわけです。

 あと、自分の人生を立て直すのに必死で、本当に、恨み続ける余裕なんかないんですよね。ここもまた、僕にはこのドラマの設定がまったくリアリティがなかった一因でした。

 ・・・とまあ、結局ドラマのリアリティって、その人の生きてきた人生にほぼ全面的に依存するんですね、という大したことのない結論となりました笑

 まあつまり、僕はこのドラマのターゲットではなかった、というだけの話です。

 このドラマで一番すごかったのは、やっぱりヨンジンの演技ですよねー!あれは本当に圧倒される演技と存在感で、イム・ジヨンさんがソン・ヘギョさんよりもかなり目立った作品だったように、僕には思えました。あれほど圧倒的な演技はそうそう見られるものではなくて、このドラマを面白くする大きな原動力だったんじゃないでしょうか。

 「ペーパーハウス・コリア」でもイム・ジヨンさん後半に重要な役どころで出てきましたが、彼女が画面にいると存在感がものすごかったですからねー!もうね、顔がすごい笑

 

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★ドラマの得点 9点★

(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

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【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読

韓国ドラマ『離婚弁護士シン・ソンハン』/最終的にものすごく面白かった!

なぜあえて弁護士モノを??ウ・ヨンウと戦うの?

 弁護士を主役としたドラマとしては、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」という大金字塔があり、百想の大賞まで受賞して評価がすでに確定しているのに、それに対抗してあえて同じジャンルの「弁護士モノ」で、しかもチョ・スンウ氏を起用して、さらに「ムービング」のガンフンのお父さん役(とかD.P.-脱走兵追跡官-の上官役)でおなじみのキム・ソンギュン氏まで配して、いったい「ウ・ヨンウ」とどう戦うだろうか・・・・というのが見る前の率直な危惧でした笑

 これで面白くなかったら、相当な企画倒れだよなこれ・・・

 と思いつつ、「シーシュポス」のチョ・スンウさんがとても良かったので、チョ・スンウさん見たさに今回見てみたわけです。

 結論としては、最終的にとても面白いドラマだった!

 なぜならこのドラマ、ウ・ヨンウとは全く戦ってなかった笑

 「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、ものすごくざっくりと一言でいうと、「自閉症スペクトラムの新人弁護士ウ・ヨンウの成長物語」なんだけど、「離婚弁護士シン・ソンハン」は、別に誰も成長しない笑

 あと、ウ・ヨンウは天才的にあらゆる法律を駆使して、あっと驚くような法廷戦術を展開しますが、シン・ソンハンは全然天才タイプではないし、そもそも「リーガルドラマ」というよりは、「離婚専門の弁護士」を中心とした、コメディ色の強い群像劇と言ったほうがしっくりくる感じです。

 いやその、群像劇とコメディが本当に素晴らしかったのですよ!!!笑

 こんなに腹を抱えて笑ったのは「エクストリーム・ジョブ」以来でした。

 

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3バカの描き方が実に素晴らしかった!

 3バカというと語弊があるけど、簡単に言うと「私の解放日誌」の3兄弟とか、「マイディア・ミスター」の3兄弟とか、つまりあんな感じの役回り。

 「私の解放日誌」ではイ・ミンギが延々とどうでもいい話をペラペラしゃべりまくるし、「マイ・ディア・ミスター」ではカーブに軽トラで突っ込んでいって結局横転するし、まあそれぞれ「バカ丸出し」でコメディパートとして大変優秀だったわけです。しかしもちろん、コメディパートとはいえ、イ・ミンギのくだらない饒舌ぶりだったり、軽トラの横転にしても、それは彼らの抱える人生の閉塞感の裏返しの表現だったりするわけですよね。

 そうなんです、「私の解放日誌」も「マイ・ディア・ミスター」も、3バカのパートはすべてが「どうにもならない人生」を「どうにかしたい」という気持ちの裏返しとして描かれているんですが、本作「離婚弁護士 シン・ソンハン」では、そういう複雑な背景はほぼ関係なく、3バカがひたすら面白い!!!

 ドラマが進んでいくと、リーガルパートよりも3バカのパートが楽しみになってくるぐらい。

 3人でキャンプに行って、誰も一言も喋らないで黙々と肉を焼いて食べるシーンとか、みんな無愛想な顔してるけど楽しそうだし笑 つまり、誰も何も喋らないで肉食ってるだけでもう画面が面白いんですよ。

 3バカのパートでは、本当にこんな脚本良く書けるもんだな、というぐらい、「バカバカしさの純度100%」みたいな会話ばっかりです。見ていて「いやこれって絶対アドリブだよね」と思うセリフもいっぱい。

 そして演じる3人の会話のテンポや表情や感情表現や突っ込み方なんかが本当に自然で、ものすごいリアリティがあるんですよね。本当に素晴らしかった!

 

第9話は韓ドラ史上に残る面白さ(注:バカバカしさ方面で)

 本当言うと、7話〜8話ぐらいで中だるみがあって、一瞬離脱を考えるぐらいちょっと眠たくなったんですが、第9話で予想外の大爆発!

 主要キャスト全員揃っての打ち上げのシーンがあるんですが、そこでの会話が、なにしろ面白すぎた! 僕的には、韓ドラ史上最高の大爆笑で、あんなに涙が出そうになるぐらい笑ったことはなかったなー!

 あんなくだらない、バカバカしいけど面白いだけのことをよくあんなふうに演じられるもんだと思います。打ち上げのシーン、4回ぐらい繰り返し見た笑 その都度爆笑したし、翌日になっても思い出し笑いが止まらなかった笑 あのシーンのどこまでが脚本で、どこまでがアドリブなんだろう?脚本だとしてもアドリブだとしても、あれは面白すぎです。

 思うに、あれほどくだらなくてバカバカしくて中身のまったくない会話で見てる方を笑わせるというのは、やはり演技力がすごいんですよね。ドラマのリアリティって、役者さんの演技力に依存する部分がかなり多いな、と実感させられた作品でした。

 しかし、バカバカしいシーン以外にもちゃんとドラマらしいシーンももちろんいっぱいあるんですが、チョ・スンウさん、本当に素晴らしい役者さんですねー!「秘密の森」見たときには、全く感情表現のない演技だったので全然気づかなかったんですが、「シーシュポス」ではけっこうな顔面天才ぶりで(右からのアングルが少しソン・ソックに似てる)緊迫感のある演技見せてくれましたし、本作ではコメディパートもリーガルパートもどちらも素晴らしかった。

 意外や意外、登場人物のそれぞれのキャラがリアルに自分の中にすっと入ってきた今では、もう一度最初から見てもいいな、と思えるほどのドラマとなりました。

 ひとつ書き忘れてた!

 本作ではウ・ヨンウのお父さんが敵の役で出演してるんですが、あんなに誠実そうにキンパを作ってたお父さん、本作ではすごい悪い顔をして、なんなら口が臭そうで全身タバコ臭いんじゃないかぐらいの悪い存在感を出してました!

 いやー、みんなほんと演技上手いなー。

 

★ドラマの得点 12点★

(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

 

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