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韓ドラの話題90%以上(好みの合わない方ゴメンナサイ)

【ネタバレ】韓ドラ『シーシュポス』最終回:謎解き完全解読

 僕は韓ドラ歴3年目、以前は映画をものすごくたくさん見る人でしたが、ふとしたきっかけである韓ドラを見て、そのあまりのクオリティの高さに心を奪われ、今はほぼ韓ドラ一辺倒。

 ブログ始める気なんかまったくなかったんですが、シーシュポスの最終回を見て、久々にいろいろ書いてみたい気になりました。

 このドラマの最終回に関して、僕としては非常に満足のいく解釈ができたし、これが完全回答だと思うけれども、ただそれはあくまでも「僕」にとっての完全回答でしかなくて、言い換えれば単なる「完全自己満足」です笑

 でも、「あ、これでほぼ全部辻褄が合うかな」という感じはある。

 あくまでも、「この作品が提示する世界観と情報の中で解釈すると」ということだけど。

 もしこの記事を読まれる方がいたら、「あーいろんな考え方があるねー」程度に読んでいただけたらと思います。僕の解釈が制作陣の意図と合致するのかどうかなんか確認しようがないし、そもそもドラマの解釈に「正解」なんかなくて、一人ひとりが好きなように見ればいいだけだしね。

 まあでも、どう考えれば辻褄があうのか、見ていきましょう。

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!!【以下完全ネタバレ】!!

最初に★ホントはすごく緻密に作り込まれてるのに、なぜ??

 まず最初に、「分かった上で見てみると、最終回は実によく練られたプロットで、作り込まれたシナリオだし、非常に面白いんです」ということをお伝えしておきたい。

でもさー、それを映像化するにあたってなぜか「誰もほぼ理解できない形」で提示してるんだよね。

 なぜあえてあんなに分かりにくくするのか!!!!!笑

 しかも情報のミスリードもあるし!!!!ヤメテほんとに笑

 なんか、「ほらほら、手がかりは全部提示したけどキミタチ分かる?」とでも言いたげな作り方。いやーちょっと迷惑だわマジで・・・笑

 で、僕の考えでは、最後にソヘとテスルが飛行機に乗っている姿は夢でも何でもなくて、「現実に、あの後すぐに起こったリアル」。そして教会の出来事によって未来は変わってしまったので、シグマはあの後、悪の権化としては復活しません

 では順番にご説明させてください。

ポイント1★教会にはソヘAとソヘB、テスルAとテスルBがいる

 本作では、「未来からアップローダーでやってきた人物」が、「現在の世界に生きる同一人物」と、同じ時間・同じ空間に共存できることが繰り返し描かれています。

 アジアマートの社長もそうだし、2035年からやって来たソヘと9歳のソヘもそう。「落ちぶれのヒゲシグマ(2020年の現在形)」&「未来から来た悪人シグマ」も、同時代に2人存在していますよね。

 そしてどうやら、「同じ人間」が「同じ時空間」に存在するのに、お互いに共有しているものは何もない、というシーンがいくつも描かれています。

 アジアマートの社長なんか、自分を殺そうとしてますからね。

 つまり、感情や肉体的な感覚(特に痛みとか)は、同一人物ながらひとつも共有しておらず、そこは「同じ人間」であるにもかかわらず、「全く別の個体」として描かれています。しかし、同一人物ですから、おそらく記憶とか経験は共有してます。(これがわかりにくい上にやや受け入れ難い・・・けど、設定なんで・・・)

 そして第10話で、ソヘが身につけていた家族写真入りのペンダントを使って、テスルが「情報が重なると同一化する」という説明をして、手品のように、2つのペンダントが触れ合った瞬間に同一化が起こり、一つのペンダントになってしまいます。

 これが、この作品が定義している、「タイムトラベル後の人やモノの共存状態」です。

 で、最終回を読み解くのに最も重要な鍵は、「教会にはソヘもテスルも2人いる」ということだと思うわけです。

 ここでは、わかりやすくるるために、下でシグマとやりあってる方をAチーム、2階から射撃してシグマを撃った方をBチームとしていきますね。

ポイント2★なぜ、未来から来た人は消えるのか?もう一度考えよう

 ところで、未来にアップローダーがなくなったのは、Bチームがシグマを殺したからではないようだな、というのが僕の見立てです。ソヘパパが公園で現在形の落ちぶれシグマを発見して、優しく上着をかけてあげた段階で未来が変わり始めたと見ています。

その証拠に、上着をかけてあげたその瞬間に、アップローダーが動作を停止している映像が挿入されています。

 つまり、シグマが朝鮮半島を滅亡させた一番深い理由は、「自分以外の人間への激しい憎悪」だったことが、明らかにセリフとしてもどこかで描かれていましたが、公園でソヘパパに思いがけず優しくされて、ギスギスに尖った氷のようなシグマの心が、少しずつ溶け始めたんですよね。

 人間への憎悪ををやめ始めたシグマには、その憎悪を激しくつのらせて行く動機も減っていくわけで、となれば、「憎悪の対象としての象徴」であるテスルへの復讐心も薄れていきますし、なによりアップローダーで過去に原爆を送り込むほどの激烈さはなくなっていったはずです。(エピローグで公園で子供の似顔絵描いてるのは、その表現だと思います。)

 でもBチームはシグマを殺します。

 それも当然のことで、あの段階においては「シグマが復讐をやめ始める」ということに関してBソヘもBテスルも100%の確信はないので、念には念を入れて、シグマを殺します。

 で、合わせて、テスルがコーディングを絶対にしなかったことによって(エディに迫られてもコーディングしなかった)、アップローダーは「機械だけはあるけど稼働できない無用の長物」として劇的に生まれ変わり、アップローダーによるタイムトラベルができない未来が確定した、というわけですね。

 だから、エディに強要されてもコーディングをしなかった時点で、タイムトラベルが可能な未来が完全に消滅したため(より正確に書くと、Aテスルが死んだ時点で、それが確定します)、アップローダーによって2035年辺りからやってきた人々は全員消えてしまいます。知っての通り、Aソヘも、はかなく消えていきました。

 ※余談ですが、本当ならば、この「アップローダーがない未来」が確定した時点で、2035年の未来から来た人が全員一斉に消えるべきだと思うんですが、それだとドラマ成立しにくいので、そこは演出ってことで・・・笑

ポイント3★考えよう。Bチームは消えないんですよ。

 もういちど、確認します。

 未来から来た人たちは、アップローダーのない2035年」が確定してしまったため、消えてしまいます。

 これは問題ないですよね?2020年に来る手段そのものが、新しい未来では消えてるわけですから。

 しかし、Bチームはどうですか?

 教会の2階にいるBソヘとBテスルは、2020年10月31日にアップローダーに乗って、「ソヘを閉じ込めた近過去」へと戻ったのでした。

 でも、この「2020年10月31日にアップローダーに乗った」という事実は、今後二度と、誰も消すことができないじゃないですか!!!

 誰も、「2020年10月31日の出来事を変える(つまりソヘとテスルがアップローダーに乗れなくする)」ことは、もう絶対にできません。

 なぜなら、10月31日の時点で、アップローダーが動く未来は完全になくなっているのですから!!!!

 つまり、BソヘとBテスル、彼らの存在は、「10月31日にアップローダーに乗った」ことだけに依存してるわけですから、Bチームはシグマが死んでも消えないんです!!!!2035年アップローダーがなくなろうがどうだろうが、Bチームの2人には関係ないんです。

 超重要なので、もう一度まとめますね。

 存在そのものが「2020年10月31日」のアップローダーに依存しているBソヘ、Bテスルは、「2020年10月31日のアップローダーが無くならない限り消えない」。

 そして2020年10月31日のアップローダーがなくなることは、もう絶対にない。

 その時は、1回しか使えないコーディングだったことを思い出してください。コーディングがないから、永遠に、もう誰もアップローダーを使えない!

ポイント4★消えないBソヘとBテスルはどうしたか?

 Bチームの2人が消えないカラクリ、お分かりいただけましたでしょうか?

もう一度簡潔に整理すると、「2035年アップローダーに存在を依存してる人は消える」わけなんです。Bチームは、2035年アップローダー、全く関係ないですよね。

 これは制作側の人、天才だと思いましたねー!

 でもセリフを紐解くと、Aテスルは「俺に見えていたのはここまでだ」と言い、Aソヘはエディに撃たれた後、「いつもここで失敗する」と言ってますから、まあ辻褄が合うのは、BソヘがBテスルにこの場を離れて逃げよう、と言ったのかな?

 それとも、テスルは天才ですから、Bになった段階で「あ、俺達消えないじゃん!」って気づいたのかな?

 まあそれはあくまでも憶測でどっちでも良いんですが、要は、「AチームとBチームは同一化していない、全部終わった後も別々に存在し、別々に行動してている」というのが僕の見立てです。

 なぜなら、同一化したシーンは一切描かれていません

 我々ドラマを見る方で勝手に「同一化した」と思い込んで見てますが、そうではなく、「Bチームはあのあと現場を離れて遠くに逃げて、結婚して、飛行機に乗った!!!!!!」のではないでしょうか?

 そもそも、「いつもここで失敗する」ほど危険に満ちたAチームと、あえて同一化しようとするでしょうか?Bチームのテスルとソヘは、それほど無防備でイノセントだったのでしょうか?

 いやー、やっぱBチーム現場を離れて逃げたと考えたほうが、辻褄合うでしょ。

ポイント5★飛行機の中のソヘとテスルはBチームのリアル。そして指輪。

 したがって、Aソヘは実際に消滅してしまい、Aテスルは実際に死ぬので、彼らにはものすごくバッドエンドなんですが、BソヘBテスルは消滅も死にもしないので、Bチームにはスーパーハッピーエンドなんです。

 Aチームの2人にとっては、超バッドエンドが彼らのリアルなので、あんなに互いに泣いて悲しんでるわけです。なぜならBチームがその後何してるか、彼らは知らないし。

(超受け入れにくい・・・・・・・笑 でも設定なんで・・・笑)

 しかし彼ら主人公には2通りの人生があり得たからこそ、2人のバッドエンドとハッピーエンドを、両方丁寧に描いたんじゃないかな、とも思います。

 なにか大きなものを失ったその裏では、同じぐらい大きな物を得ているんだよ、という人生普遍のメッセージであるような気もしますが、まあそれは深読みかな?

 なお、Bテスルが死なない理由は、冒頭少し書いたように、「タイムトラベルしてきた人は、それまでいる同一人物とは全く別の個体」という世界観が繰り返し提示されているからです。だからAテスルの死に影響されず、Bテスルは生きていると考えられます。

 ところで、飛行機の中のソヘが「9歳のソヘが20年近く待ってアップローダー探してテスルに会いに来たソヘ」ではないと思うんですが、その理由は、飛行機の中でワインの生産年について「この数字は何?」って聞いたり、「冷菜って何?」と聞いたりしていて、この世間知らずは未来から来たソヘそのままです。

 つまり、これは間違いなくBソヘでしょう、というのが僕の見立てです。

 ちなみに、飛行機の中のソヘちゃん、左手の薬指に指輪してますよ♡ テスルはしてないですけど。

 最終話の前の方の映像確認しましたけど、ソヘちゃん、それまで指輪してないです。

Bチームは超ハッピーエンドだったんじゃないでしょうかね?Aテスルがリアルに死んでしまったので、もう韓国には戻って来れないでしょうけど。

★ややこしいので、もう一回整理しますよ★

(1)2035年アップローダーに乗って現在にやってきた人は、みんな消える

(2)その理由は、2035年アップローダーが稼働しないことが確定したから

   ⇒ 端的には、テスルがコーディングを最後まで拒んだため

(3)教会の2階から狙撃していたBチームは、2035年からやってきたのではない

   ⇒ 彼らは2020年10月31日からやってきてます

(4)だから、2035年アップローダーがなくなっても消えない

(5)同一人物なのに「別の存在」なので、Bチームは2人とも死なない

(6)AチームとBチームは同一化せずに、Bチームは現場を離れた

(7)そして結婚して現実に飛行機に乗った

 ・・・ということなんですが、やっぱりわかりにくい笑

 しかも、飛行機のシーンでラーメンに文句言ってる客もいたりして、まったく第一話冒頭のシーンの繰り返しのように見せたりもしてますしね。でもあれは単なるミスリードと演出で、あそこのシーンから読み取れるメッセージは「機内食のラーメンは美味しくないと感じる人が多い」ということなんじゃないでしょうか笑

後は余談★シグマのその後とか、矛盾点とか

 シグマは最後公園で似顔絵を描くいい人になりつつも、まだテスルへの憎しみを消していないようですが、テスルはソヘといなくなっちゃったし、会社はボンクラエディが経営してるし、未来にアップローダーはないし、つまり作中で描かれていたような形での「悪の権化」としては復活できないでしょう。

 まあできることといえば、せいぜいテスルと同じ眼鏡、同じ服を着て鏡に映して罵る、という程度のことじゃないでしょうか。

 もしまた壮大な復讐を考えるとしたら、それはまた別の話です。

 あと、どうしても気になるのが、教会の2階からBチームが狙撃を行ったあとのこと。

本来ならば、あそこでAチームがアップローダーに乗りに行くのを目撃するはずなんです。

 でもそれをやっちゃうと、あの教会が閉じられた輪になって無限にループを繰り返し、設定的にCチームDチームEチームと同じ人が無限に増殖していくので、まあドラマとしては無理ですよね。

 で、Aチームがアップローダーに乗りに行かないための「変数」としてエディがやってきたのかな、とかとか考えてますが、まあそのあたりは、わりとどうでもいいかな?ここもひとくさり説明できるんですが、そろそろ面倒くさくなってきました笑

 それにしてもエディは終始一貫「ピントのずれたカヤの外の人」として描かれていましたが、最後はなんか「運命の代理人」みたいに格上げされちゃいましたね。(つまりコーディングしろと誰かがテスルに迫るという運命)

 いや、格上げなのか格下げなのかやや微妙ですが・・・

最後に★いやー、夢オチと思ったよ、最初笑

 いやでも16話見て最後に夢オチとかありえないなー、、、と思っていろいろ解釈してみましたが、実は「夢オチ」が2番めに辻褄の合う解釈です笑

 むかし、映画「マルホランド・ドライブ」を解釈したときはあらゆるディテールが完璧で、あらゆるパズルのピースがピタリと収まるので、その美しさとあまりの悲しさに本当に感嘆したものですが、本作はそれ以来久々の謎解きへの挑戦でした。

 謎解き面倒くさいんで、できればスッと入ってくるドラマがいいかな笑

 まあでもドラマ全体を通して、若干間延びするシーンがあったりとか、最終回もう少しヒントしっかり提示してよとかあるけど、全体に面白かったです。

 だって、最後に教会の入り口の方から奥の祭壇にソヘテス2人でコツコツっと歩いてくるシーンがあるけど、あれなんか完全にミスリードだよね・・・

 Bチームが「この場を離れよう」とかのセリフでもあれば、誰でも分かるものになったのに・・・!!

 でも制作側がそうしなかったということは、もしかすると僕の解釈は根本的に妄想で全部間違ってるのかもしれませんm(_ _)m

 でもまあ、辻褄は合うんだよね笑

 それにしても、未来を変えたきっかけが「現在形シグマへのソヘパパの優しさ」だった、というのは良いな。

 優しさは未来を変える力がある、って、ドラマのメッセージとしてはとても良かった。

 

★ドラマの得点 11点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)