オットケテンゴヤ?

韓ドラの話題90%以上(好みの合わない方ゴメンナサイ)

寂しそうな表情がかっこいい曲5選

 なんだかこの歳になってから、寂しい感じをうまく表現している曲がカッコいいな、と思うようになりました。音楽の表現として、「寂しい感じ」をカッコよく仕上げるのってたぶんなかなか難しいんじゃないかと思うんですが、どうも単にマイナーコードの進行になっていれば寂しそうかと言うと、そうでもないみたいです。

 下にご紹介する曲のどこが寂しそうでどこがカッコいいのかを言語化するのは無理なので、ちょっとお分かりいただけないかもなんですが。

①Ready for Love(Bad Company)

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 1974年にリリースされたバッド・カンパニーのデビューアルバム収録曲。50年前・・・笑 でも、ロックってこの頃にもう音楽のスタイルとしてはすっかり完成していて洗練度もかなり高いので、1980年代以降のロック・ミュージシャンは大変だったでしょうね、やれることが少なくて。バッド・カンパニーのこのアルバムは高校の時買いましたが、当時は曲の構成がシンプルすぎて良さがあまり分からなかったです。でもいま聞くとメッチャカッコいいですね。

②Happiness is a Warm Gun(The Beatles

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 冒頭のスリーフィンガーのアルペジオで歌う導入部、僕の中では「寂しいカッコいいソング」の最高峰です笑 しかしたった2分40秒ほどの中にこれほどの展開を詰め込むとは、ジョン・レノンの天才ぶりマジでヤバいと思います。後半のシャウトもカッコいいですよね。あのパートがあるために、カラオケでは絶対に歌えない曲笑 しかしこの曲をこんなにかっこよく演奏してしまうとは、ビートルズのバンドとしての実力も、やはりクオリティがメッチャ高いと思います。

 ビートルズの寂しい感じの曲といえばポールの書いたFixing a Holeもかなり良くて迷いましたが、サビのカッコよさでやっぱHappiness is a Warm Gunかな。

③Crush on Her(Escondido)

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 こんな曲を知ってるのは日本で僕の他に10人ぐらいしかいないかもな、という超マイナー曲。でもエスコンディードって本当に寂しくてカッコイイ曲が上手いバンドで、活動休止が返す返すも残念です。アルバム3枚出してるんですが、1枚めと2枚めはCDが発売されてて、僕はわざわざアメリカから通販で買ったという笑 この曲が収録されているのは3枚目のアルバムなんですが、配信のみのようで、CDが買えません、残念。まあいまはSpotfyがあるんで、いつでもある程度いい音で聞けるからCDって本当に買わなくなりました。

④Sometime World(Wishbone Ash)

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 ウイッシュボーン・アッシュ1972年の作品ですねー。古い!そして古い曲は長いですね笑 なんでこんなに長くする必要があるのかと思うけど、この曲はラストのギターソロが長いんです。しかしアンディ・パウウェルの弾いたこのギターソロは、ロック史上の中でも最高クラスに美しいソロだと思います。以前はこのアルバム「アーガス」が好きで車の運転のときにかなりヘビロテしてましたが、いまこのアルバムを通して聞くと疲れるかな笑 聞くならこの曲だけでいいかも笑

 それにしても今回は古い曲か超マイナーな曲ばかりで、ここまで動画なし笑 アルバムジャケットの静止画のみ!

⑤Closer(少女時代)

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 やっと動画来たんですが、この動画は単なる寄せ集めですね。この曲のために撮ったMVはないのかな? これは一昨年の完全体再始動のときのミニアルバムに入ってる曲ですが、いやー、カッコいいですね。とくに、前半でヒョヨンの低音部パートが入る部分でぐっと寂しい感じが出てきて、メッチャかっこよくなります。ヒョヨンの次のユリの切ない感じの歌声も非常につながりが良くて、この曲の聞きどころはそこかな? なんかの動画でヒョヨンもこの曲がお気に入り、みたいな発言しているのを見たんですが、ご自分の価値がよく分かってらっしゃる。彼女のパート、ほんとに素晴らしいと思います。

 

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【韓ドラ パスタ〜恋ができるまで〜/すごく面白いんだけど、時代の違いもすごい

 一つ前の記事「プロデューサー」で観たコン・ヒョジンさんがあまりに良すぎて、更に古いドラマ「パスタ〜恋ができるまで〜」を観ました。最終的な結論を言うととても面白かったんですが、時代の感覚のあまりの違いに愕然としながらの鑑賞となりました。ドラマは本当に素晴らしいんですけどね、けっこう大好きだったんですが、今の時代なら受け入れられない表現がメッチャ多い!

 昨年、悲しい亡くなり方をしたイ・ソンギュンさんが男性側の主演で、演技の質はものすごく高かったです。彼じゃなかったらこのドラマはここまでうまくまとまらなかったんじゃないか、と思うほど素晴らしい演技でした。本当に惜しい俳優さんを亡くしたもんだと思います。

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職人気質の超厳しい「オレ様」シェフ、今なら単なるパワハラか?

 物語は、高級イタリアンレストランの見習いユギョン(コン・ヒョジン)が、3年の下積みを経てようやくフライパンを握らせてもらえるようになったところからスタートします。しかしその時のシェフが事情で退職してしまって、新しくやってきたシェフが、イタリア帰りの若手の超実力派ヒョヌク(イ・ソンギュン)。・・・なんですが、彼は「超オレ様主義」で、非常に気難しい職人気質。気に食わないことがあると、大声で怒鳴り、部下を激しく叱りつけ、出来の悪い料理を皿ごと床に叩きつけたりするわけです。そして着任初日で厨房の女性をなんと全員クビにし、ユギョン(コン・ヒョジン)もクビを宣告されてしまいます。それでもユギョン(コン・ヒョジン)は辞めずに、翌日も負けずに出勤して朝礼の列に並び、食らいついていくんですが・・・

 ・・・という書き方は、ドラマ公開年の2010年だったらこんな感じになるのかな、という視点で書いてみました笑

 でも実際いま観ると、これは酷いパワハラ笑 たぶん、今の時代だとこういう流れでドラマ作れないでしょうねー。物凄い批判にさらされると思います。どんな描写があるかというと、

◯とにかく理由も言わずに、頭ごなしに怒鳴り散らす

◯怒鳴り散らしていることについて一切なんの説明もしない

◯そして、怒鳴り散らしたあとに返事を強要する

◯将来的にどのような厨房にしていきたいのか、いっさい展望も説明もない

◯なのにひたすら怒鳴り散らす上に、出来た料理をお皿ごと床に叩きつけたりもする

◯従業員を勝手に解雇する

◯オレの厨房に女はいらない、とあからさまに公言する

◯食材を平気でムダにしたり捨てたりする

 そしてドラマが進むに連れて、他のキャストからも「女なんだから」というジェンダーに基づく差別的発言が出てきたり、女性の肩に手を回しながら「最近彼氏でもできたのか? なんかかわいくなったじゃん?」みたいなあからさまなセクハラ発言が出てきたりさえもするわけです。(それに対して女性側は少し頬を赤く染めて「いや〜」みたいなテンプレの反応をするわけなんですけど。)

 これはしかし、単純な問題でして、明らかに、「時代が違うから」のひと言で片付く問題だと思います。当時はそういうようなことがまだ社会的にも受け入れられていたんだなー、と思うと、この14年でずいぶん価値観とか社会のありようは変わってきたのね、と、まざまざと実感しながら観てました。

 とは言え、全然ダメなシーンもあるんですよ、やっぱり笑

 たとえば、食材を保存している冷凍室のドアのトラブルで、ユギョン(コン・ヒョジン)が一晩中冷凍室に閉じ込められる、という事件が起こるんですが、閉じ込められた彼女はさすがに冷凍のスイッチを切ったわけですよ。厨房には誰もいない上に、冷凍室から出られない、ケータイもなくて助けも呼べないから、明らかにそのままだと凍死する状況なんで。これは当たり前で最低限の危機回避だと思うんですが、その行動に対して翌朝ようやく救出できたときの言い草がこれ➡「凍死すればよかったのに!調理師のくせに食材をダメにしやがって」みたいなセリフを投げつけてました。。これはさすがにダメでしょ笑 ドアが壊れて出られなくなった彼女は被害者なのに、食材の弁償の話まで出るし・・・笑

 いろいろそういう、いま観ると「ありえないでしょ!」というシーンがけっこう続出します笑 2人で車に乗ってて、ちょっとした喧嘩になって彼女がいったん車から降りるシーンがあるんですが、そのあとなんと彼はそのまま車を走らせて彼女を本当に置いてけぼりにしちゃいましたからね。。。ダメでしょ、それも笑

にもかかわらず、本当に面白くてもう一度観たくなるほど名作ドラマ

 上で書いたような今の時代には全くそぐわない、「ダメでしょそれ」のオンパレードなんですけど、結論としてはすごく面白いドラマで、なんならもう一回観たいぐらい。それは第一には、コン・ヒョジンさんが古今東西のあらゆる映像作品を通じて、おそらく歴代No.1クラスに、ものすごく可愛いというのが大きいと思います。こんなに「かわいいひと」をナチュラルに演じられる俳優さんって、本当にこれまで見たことがないかも。彼女はいわゆる「美人顔」や「可愛らしい顔立ち」ではなくて、どっちかって言うと意思の強そうな個性的な顔立ちなんですが、感情が湧き上がってくるときの表情の演技が、本当に凄いんです。とくに、「喜び」を表現するときの、少しはにかみながら顔を赤くして笑みがこぼれる、というような演技がもう絶品。たぶん、男性なら、自分が好きな女の子にはああいう顔して喜んでもらえたらそれだけで幸せになる、という表情が自然に出てくるんですよね。喜びの表現だけじゃなくて、喜怒哀楽の表現が全部、ものすごく自然で、まったくわざとらしさのかけらほども感じさせない、素晴らしい演技でした。というか、見ていて「演技」であることを忘れさせられるほど、彼女の感情表現にこちらも没入してしまいます。

 まあ、お相手がイ・ソンギュンさんですからね、それも大きいと思います。すぐに怒鳴り散らす怖い上司の役どころなんですけど、あの顔ですし、彼はふとした仕草や立ち居振る舞いにものすごく雰囲気のある役者さんで、とても美しい人なんですよね。

 そんな彼に怒鳴られ続けながらも、歯を食いしばってけなげに全力で仕事を頑張る彼女の姿は、見ていて本当に応援せざるをえないような、素晴らしい演技でした。

ラスト2〜3話は、けっこう涙腺持って行かれます

 こういう、いまで言うとパワハラだらけの表現を、なんとなく「ラブコメ」として見続けていられるのは、実はOSTの力が大きいんです。ドラマではほとんど全編にわたってバックに「なんか楽しそうな音楽」がずっと流れてて、それは大半がインストゥルメンタルなんですよね。ギターだけだったりとか、弦楽だったりとか、ギターと弦楽のハーモニーとか。リズムもテンポのいいものやワルツみたいな3拍子とか。そういう、インストゥルメンタルじゃないときには「♫ラーララ、ラーララ♫」みたいな楽しそうなハミングが入ったりして、要は常に、画面ではなかなかひどいことが行われているのに、あたかも「なにか楽しいアトラクションでも見ているかのような音楽」が流れているわけです。この音楽がなければ、たぶん見ているのが辛くなってくるんじゃないかな?

 で、新しいシェフ(イ・ソンギュン)が来たおかげで厨房は大混乱に陥り、元からいる「国内派」と、シェフが連れてきたイタリア帰りの3人「イタリア派」の深刻な断絶が続き、もうまったく修復不可能な状態に見えるんですが、ドラマ最終盤になって、2つの派がある共通の目標を持つことになって、果たしてどうなるか・・・? その中でコン・ヒョジンさんとイ・ソンギュンさんの恋模様はどうなっていくか・・・?

 それにしても、ラスト2〜3話の作り方は、2010年の作品なのに、さすが韓国ドラマ、という感じです。僕はちょっと涙腺持っていかれ気味になりました。ああいうの、弱いんだよなー、とくにこの歳になると笑 どのあたりかと言うと、「大会」の様子です、見た方用にお伝えすると。

 でもドラマだから美しい物語として完結するんですが、仮に現実のこととして考えた場合、迷わず社長を選ぶべきですよ笑 ああいうシェフみたいな男を選ぶと、100%、まちがいなく苦労する上に喧嘩が絶えなくなります笑 恋なんかどんなに長続きしても5年がせいぜいですから、あのあとふたりは別れると思います笑笑 まったくミもフタもないんですけどね笑 もうね、車からおろして置き去りにしてる時点で完全にアウト笑 イ・ソンギュンさんだから絵的に許せるってだけで笑 そこがドラマの持つ力でもあるんですけどね。

 ちょっと話はそれますが、女性のカリスマシェフ役としてイ・ハニさんが出てまして、「とても立場が上」の人としてコン・ヒョジンさんに接するんですが、実年齢ではコン・ヒョジンさんが3歳年上で、オンニなんですよね。なんですがドラマの中ではまったくそんな感じはなくて、コン・ヒョジンさんが明らかに歳も社会的地位も下に描かれています。コン・ヒョジンさんから見ると「オンニ」とさえ呼べないぐらい、遠い人。それが本当に自然で、ふたりとも、凄いもんだなと思いました。

クリエイティブな仕事は、やっぱりこうじゃなきゃ、とは強く思う

 僕の住んでいる街には、1990年代の後半、とてもおいしいイタリアンレストランがあって、いつ行っても満員の大盛況でした。小さな店で、L 字型のカウンターの中がオープンキッチンになってまして、そこでシェフがひとりで調理をしてる店だったんですよね。カウンターには7席ぐらい、あとテーブルが4人掛け2卓、2人掛け3卓ぐらいだったかな? どのメニューを頼んでもものすごく美味しくて、料金もなかなかリーズナブルで、仕事仲間と2〜3回ぐらい行ったことがあるんですが、まあ本当に抜群に美味しくて隠れた名店でした。

 そこのシェフが、いま思い返すと、怒鳴り散らすシェフでした笑

 スタッフに「バカヤロー!」とか「ふざけんなコノヤロ!」とか、そういう情緒的な言葉の他に、もちろん業務指示も含めて、なんかずっと怒鳴ってました笑 でも、客はみんな、受け入れてましたね、普通に。「そういう店なんだ」って思ってました。オープンキッチンだから、シェフ、客の目の前にいるんですけどね笑

 うーん、時代が違うんですねー。

 あと、僕は現役で仕事をしていた頃はクリエイティブな仕事で、いわゆる「シェフ」のポジションでした(クリエイティブ・ディレクターってポジションなんですけど)。そして僕のチームでは、僕のOKが出ないと原稿を外に出せないルールになってまして、スタッフがどんなに徹夜して頑張ったものでも、水準に達してないものや原稿の趣旨をよく理解できていないものに対しては、ダメ出しをする立場でした。ドラマ見ていくうちにイ・ソンギュンさんのシェフのやってることが、「ああ、俺がやってたのと同じだよね」と気づくまでそんなに時間はかからなくて、そこから一気にイ・ソンギュンさん演じるシェフに共感を覚えて、ドラマに没入できたようにも思います。

 ものすごく頑張ったのがわかる原稿にダメ出しするとき、つらいんですよ。でも、プロの世界って、「頑張った」ということはまったく評価に値しなくて、全然頑張ってなくても原稿が水準に達してればOKなんですよね。そして実際はあんなに怒鳴り散らしたら、スタッフ誰もついてきません。ドラマだからもちろん誇張表現なんですけど、ダメ出しするときには、まずよくできた点を褒めてあげて、それから、なんでこの原稿だとそのまま出せないのかを、その人のレベルに合わせて言葉を尽くして説明する感じになります。

 プライベートでは友達関係だった人にも仕事ではダメ出しするポジションでしたが、お互いプロなので、そこでこじれて問題になったことは、僕の場合はなかったかな。ダメ出しされて泣いちゃうのはまだプロじゃなくて未熟なんです、本当は。ドラマ後半では、そういう立場のシェフの孤独さもうまく表現されていて、なかなか味わいの深いドラマに仕上がったと思います。

 まあ、見て損のない一作。

 というより、もっとストレートに言うと、オススメです。面白い。

★ドラマの得点 12点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

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【韓ドラ】プロデューサー/古い作品だけどいまでも十分面白い名作

 なぜ見ることになったのか思い出せないんですが、古いドラマ「プロデューサー」を観ました。2015年のオンエアですから、いまから9年前の作品ですね。

 TV局に入社したての新人PDをキム・スヒョンさん。彼が入社して配属されたバラエティー局の先輩PDをチャ・テヒョンさん。そのチャ・テヒョン演じる先輩PDと幼馴染で、音楽番組のメインPDの役をコン・ヒョジンさん。そして人気アイドル・シンディの役をIUさん。

 この4人が一応のメインキャストなんですが、この作品、カメオ出演がものすごく豪華で、それを観てるだけでも十分楽しめます。もちろん、ドラマの本筋もしっかり作り込まれていて、ラストまで飽きることなく楽しめる一作でした。 

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テレビ局が舞台なだけに、カメオ出演が凄い

 第1話の序盤からいきなり、少女時代(テティソの3人)が、KBSの社員食堂で食事に並んでるシーンがでてきてびっくり。しっかりテレビ出演用のコスチューム着て、メイクももうガチガチに仕上がった状態で社員食堂に並んでる、というなかなかシュールな絵なんです。驚いたのは、テティソの3人、そういう状態で見ると、なんというか他の人とは人間としての輝度がまったく違うんですね笑 キラキラ感が本当に凄い。人間と言うより妖精ですね、あれは笑

 僕が気付いただけでもカメオ出演は本当にたくさんいて、チャン・ヒョクイ・スンギ、コ・アラ、パク・ボゴム、キム・ミンジェなんかが出てました。そのほかにもK-POPのアイドルも多数出てるらしいんですが、そちらはあまり詳しくないので、興味ある方はこちらでカメオ出演の顔ぶれを確かめてみてください。

 あと、カメオ出演だけじゃなくて、2024年の今現在でもいろんなドラマでお目にかかる俳優さんたちがたくさん出ていて、9年前といまがほとんど変わらない人からさすがに経年を感じさせる人までいろいろいて、そういう面でもとても面白かったです。

 なかでいちばんビックリしたのが、IUさんですねー! 今のビジュアルを見ても、9年前とほぼまったく変わらないです! まったく経年を感じさせないほどいまでも若々しくて、いったいどういう魔法を使っているのか笑

キム・スヒョンが「ダメダメなのに真っすぐで憎めない」キャラを好演

 ドラマは、新人プロデューサーのペク・スンチャン(キム・スヒョン)が、テレビ局に入社してから夏を迎える前までの、仕事と恋の物語が軸。そしてその脇で、先輩PD(チャ・テヒョンさんとコン・ヒョジンさんの2人)の人生模様と、アイドル歌手シンディ(IU)の人生の断片が描かれる、というストーリー展開となっています。

 キム・スヒョンって、あの人イケメン枠なんですかね?笑 僕から見ると、あまりそうは見えないんですが・・・笑 まあそれはしかし、今回の役どころが「天然」で「どこかピントが外れてて」、だから当たり前のように「仕事ができない」「気も利かない」うえに、「ガキみたいな幼稚な仕返しをする(しかし害はまったくない)」みたいなシーンもあって、だけどいつも全力投球、気持ちだけはまっすぐ、褒められるとデレデレの顔して喜ぶ、、酒を飲まされると記憶をなくす、みたいな「憎めないキャラ」なんです。僕はキム・スヒョンさんの他の作品を見たことはないんですが、この「憎めないキャラ」、本当に見事に演じきってましたねー。あまりに天然すぎて、同性の僕から見ると「ばかなのか?」と思うシーンも多々ありましたけど笑 つまり、本当にそう思わせるほど、「ダメなのに憎めない」役回りが抜群だったと思います。

 入社して2ヶ月ぐらいの間が描かれているんですが、その時期ってとくにテレビ局みたいな特殊な職場では、それまで学んだことがまったく役に立たなくて、よほどのことがないとアイデンティティーを喪失してしまっている時期です。そうした「とまどい感」とか「言われたとおりやってるのになんで叱られる!?」感とか「どうして僕だけ?」感とか、あらゆるシーンでそういう「ちょっとやるせない感じ」がうまく表現されていて、おーなかなかいい役者さんねー、と思いました。だから彼をイケメンだと感じる人は、彼のことを応援しながら観るドラマになると思います。彼をイケメンだと思わない僕は、たいていのシーンで「ほんとにばかだなお前」と思って観てましたけど、それはそれで楽しい見方でした笑 はるか40数年前を思い出して、「あー、たぶん俺もこれぐらいばかだったよなー」と変なところで共感するという笑

ドラマを通して言えるのが、コン・ヒョジンさんとても素晴らしい!

 コン・ヒョジンさんって評判のいい俳優さんらしい、というぐらいの知識はあったんですけど、これまで彼女の出演作は観たことがなくて、まあ特に興味もなかったんですが。いやーしかし、彼女素晴らしいですね!一気に大ファンになってしまいました!

 ドラマの導入部分では、彼女は「音楽番組のプロデューサー」として、非常に強い女として描かれています。メイクもかなりきつめに作ってあって、コスチュームとか物腰とか全て含めて、彼女が出してくるメッセージは一貫して「ものすごく強い女」。

 これが、物語が進むに連れて彼女の「仕事の姿」のベールがどんどん剥がされていって、「人間としての姿」が浮き彫りになってくるんですが、このギャップの演じ方が何しろ素晴らしい! つまり、普通「強い女」のギャップイメージとしては「人としては弱い一面もある」というところを見せていく手法が取られると思うんですが、彼女の場合、そういう演技をしていてもきちんと「強さ」を残しているんですよね。それが「強がって自分を偽ってそう見せている」という人ではなくて、本当に「芯が強い」んですけど、「それでも人生思い通りに行かないことも多くて溜息が出るよね」という姿なんです。そういうときの彼女が、本当に誠実でまっすぐで、いい人に見えます。それは、ドラマが進むに連れて徐々に明らかになってくるんですが、彼女が演じるキャラは、たしかに「強い人」ではあるんですけど、心の中が本当に暖かくてやさしいんですよね。そういう面を出すときの彼女の表情や姿が本当に素晴らしくて、僕はもう完全に彼女の応援をしながらドラマを観る羽目になりました笑

 あまりにコン・ヒョジンさんが良すぎて、いまもっと昔のドラマ「パスタ〜恋ができるまで〜」を見始めてしまうという笑 すっかり大ファンモードになってるし笑

誠実で、心の暖かいやさしい人たちの素晴らしいドラマ

 キム・スヒョンの先輩プロデューサー、ラ・ジュンモ(チャ・テヒョン)も、最初は「新人に無茶振りする無責任なPD」みたいな描かれ方をするんですが、彼も、物語が進むに連れて、とても誠実な生き方をしている、ちょっと不器用な人である、という姿が明らかになってきます。チャ・テヒョンさん、「ムービング」でバスの運転手(ポンゲマン)をやってた人ですが、この人も上手ですね〜! 仕事の上で、いつも小出しに小言を言ったり怒ったりする人なんですが、でも彼は「怒鳴る人」ではないんです。舌打ちしながらも、なんというか包容力があって、部下をそっと見守っているような面もあって、ドラマを観てる側からすると、嫌いになる要素がほとんどない笑 彼と、コン・ヒョジンさんの「幼馴染であるがゆえの」人間関係のあり方は、なかなかいい感じでした。

 それにしても、韓国のドラマ作る人たちって、あの「かわいい」だけでできてるようなIUさんにいつも「機嫌の悪い役」ばっかりやらせるんですね笑

 「マイ・ディア・ミスター」でも全編通して機嫌悪かったですし笑、「ホテル・デルーナ」でも機嫌悪かった笑(僕はホテル・デルーナ途中離脱しちゃいましたけど。マイ・ディア・ミスターは最高でした。)

 僕が観た中で機嫌が悪くなかったのは「麗~花萌ゆる8人の皇子たち~」だけですが、あれは機嫌が悪くないというよりは運命に翻弄されてなかなかボロボロになっていくので、けっこう壮絶でした。

 本作でも絶頂に「機嫌の悪いIUちゃん」を堪能できます笑 彼女が演じるアイドル歌手の人生模様も、実に見どころたっぷりで面白かったです。

★ドラマの得点 11点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

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【韓国ドラマ】哲仁王后(チョルインワンフ)〜俺がクイーン!?/シン・ヘソンの怪演がスゴい

 哲仁王后(チョルインワンフ)が、一斉に各サブスクに降りてきましたね。以前WOWOWで放映されたときはあまり興味なくて見なかったんですが、シン・ヘソンさんが「生まれ変わってもよろしく」でずいぶんと良かったので、楽しみにしていた一作でした。

 あらかじめ未視聴の方のためにお知らせしておきますと、この作品、いろんなところで「爆笑ラブコメ」と紹介されてますが、実際はそうではありません笑

 もちろん、腹を抱えて笑うシーンもけっこうあって、特に導入の第1話〜第2話あたりは完全に「コメディ」として作られているんですが、その後の展開は「陰謀渦巻く宮廷の中の権力闘争」と、「そこに巻き込まれてしまったタイムスリップしてしまった男(生まれ変わったら女)」というしっかりとしたストーリー展開があって、そのストーリーにコメディタッチの演出がまあまあ入ってくる、という感じのドラマです。つまり「爆笑」を軸にした展開ではない、ということは事前に知っておいてもいいかもです。

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時代は朝鮮時代の末期、朝鮮王朝最後から2番めの王様、哲宗

 本作はよくあるタイムスリップもので、現代の韓国を生きるエリートシェフ(自信満々で女たらしの男)が、陰謀によって追い詰められてプールに転落すると、そこには鉄板の「なんか向こうから泳いでくる女」がいて、キスをすることによってその女の体に魂が入ってしまう、というところから始まる物語です。

 女たらしだった自信満々の男が、目覚めてみたら女の体に魂だけ入っていた!しかもその女性は、明日、王様の嫁になるという!この設定はなかなか目新しくて面白いですよね。生まれ変わってからしばらくは、実際に喋るところはシン・ヘソンさんの声、心の中の声が生まれ変わる前の男性の声(チェ・ジニョク)で進行します。まず、股間にあるべきものがない事自体が衝撃的であまりにもショックが大きすぎるところに、加えて「明日は王様への嫁入りの日だ」というシチュエーションなので、最初はそのズレが大きくてまったく対応できないあたりがかなりコミカルに描かれています。しかも徐々に分かってきたことには、王様に嫁入りするのは完全に政略結婚で、権力を操りたい「家」の武器として王様に嫁がせられることがわかって、話はなかなか見ごたえのある展開へと移っていきます。

 しかもその、嫁入りする予定の王様が、ボサーッとしたアホ面の男・・・権力闘争を繰り返す2つの「家柄」の間に挟まれた操り人形でしかない・・・

 モデルの哲宗(チョルジョン)は、史実では「どうやっても豪族たちの勢力に勝てず、後年は酒と色にふけって政治を顧みなかった」という王様です。でもその哲宗、実は目に見えないところでものすごく頑張っていた・・・!はたして哲宗の頑張りは報われるのか、そして生まれ変わってしまったシェフは、現代に戻ってこられるのか? というストーリー。

 もちろん、物語の進行上、戻れないわけですよ笑

 そこでいろんなことに否応なく巻き込まれていって、ときには命さえ狙われて・・・

シン・ヘソンさんの演技がスゴい、本当に男にしか見えなくなってくる

 本作前半の一番の見所は、間違いなく、シン・ヘソンさんの怪演です笑 もうね、一挙手一投足が、本当に男にしか見えないんですよ。そもそも、体に魂だけ入ってきた男のシェフが、「女を見れば所かまわずやることしか考えない」ような品のない男なんですが、その品のない感じまで含めて、余すところなく「男っぽい」んです。そのシン・ヘソンさんの姿を見るだけで、この作品は一見の価値あり。

 そもそも元の体の持ち主の女性は、王様との挙式の前日に、自殺を図ったのでした。したがって、舞台となる朝鮮時代末期の宮廷の人たちは、彼女のことを「自殺しようとしたけど助かった人」としか見ていないわけですね。だから生まれ変わって品もないし男みたいだし宮廷の常識をまったく知らない彼女を見て、「なぜこんな変わり果てた人柄になってしまったのか」というギャップにまったく対応しきれないわけです。

 このあたり、それぞれの立場から、彼女がそのように振る舞っている意図を探ろうとし、自分の置かれた状況と立場から見える文脈の中でだけ、彼女のことを解釈するわけですよね。彼女が(実際は彼が)「お、メッチャいい女!仲良くなりたいじゃん!」というだけの超単純な動機から接近していった女性が、実は自殺直前は彼女の敵だった人物で、「あなたほど怖い人はいない」みたいなことを言うわけです。こういう、「女好きのシェフ」の単純な心理で動いているだけの彼女(彼)のことを、「いったいどんな思惑があってあんな行動を?」と深読みしようとする宮廷の人達とのズレが、なかなか展開的に面白い構成となっていました。

全20話ですが起伏があって飽きずに最後まで見れます

 韓国の時代劇って、とにかく色が鮮やかで画面がとても美しいですよね。とくに宮廷の位の高い人たちが来ている韓服は華やかですごくきれい!

 Wikiで見ると、哲宗は1849年に即位してますので、日本では江戸時代の最後期、ペリーの黒船なんかが来てた頃ですね。

 本作は画面がきれいですし、ストーリーもとても練られていて、安心して最後まで楽しめる一作だと思います。物語が進むに連れて哲宗の孤独ぶりがなかなか胸を締め付ける感じに描かれますが、しかしコメディベースの作品なので、「麗<レイ>8人の萌ゆる皇子たち」の光宗みたいに、孤独が深すぎて絶望しかない、最後はもう悲しすぎて泣くしかない、というドラマではありません。最後まで楽しめる、いい作品です。

 

■■以下、ラストに関してネタバレあり、未視聴の方はご遠慮ください■■

 

 ご覧になった方ならわかると思いますが、チャン・ボンファンが現代に戻ってきて歴史書を確かめると、哲宗は仕事をきっちりやり遂げたことになってて、歴史が変わっちゃってましたね。こういうの、いいですよねー。ドラマなんだから、なんだってありだと僕は思います。

 ちなみに、チャン・ボンファンが確認した歴史書では「哲宗」という表記ではなくて「哲祖」という表記になってたの、気づきました?これ、ちょっと調べてみたんですけど、治世に大きな功績のあった王は、死後に送らられる諡(おくりな)に、「祖」の文字が用いられるそうです。つまり哲宗は「酒色にふけった王」ではなくて、「哲祖」として崇められる、立派な王として後に認められた、という締めくくりです。字幕だけではちょっとわからない部分だと思うんですが、調べてみて「へーー」と思ったので、ご覧になった方への共有です笑

 

【韓ドラ】The 8 Show ~極限のマネーショー~/人として生き方が試される極限状況

 韓国の青龍アワードの受賞式が先日ありましたが、その中で「The 8 Show ~極限のマネーショー」がずいぶんいろいろと名前が出てまして、新人女優賞・助演女優賞・主演女優賞・主演男優賞の4部門ノミネート。しかも主演女優賞のノミネートは「恋愛体質〜30歳になれば大丈夫」のチョン・ウヒさんだったので、果たしてどんな姿を見せてくれるのかが楽しみで、鑑賞してみました。

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虚構臭い舞台装置と、シチュエーションの設定が面白い

 ドラマの全体の筋立てとしては、人生に失敗して大きな金が必要となった人間が一同に集められ、賞金の獲得を目指していくという「カイジ」方式。

 なんですが、カイジやほかのサバイバルゲーム物と一線を画するのが、「8人のうち誰か死んだらその時点でゲーム終了」という、脱落を許さない設定です。8人全員がトライし続けなくてはいけない中で、それぞれの関係性や心理状況が混沌を極めていく、という構成のドラマです。

 このドラマも面白いところは、まず、あらかじめ何かのゲームが用意されているというわけではなくて、単に8人が8階建ての建物に集められ、それぞれ自分が選んだ階数に住み、「この建物の中にいる間は、単に『1分毎に賞金が加算』されていく」というルールなんです。まさに、タイムイズマネー。時は金なりそのままのルール設定。

 なんですが、「ゲームの残り時間」が広場に刻々と表示されていて、これが何もしないとどんどん減っていってしまいます。さらに、(これは比較的すぐわかるのでネタバレには当たらないと思うのですが)居住する階数によって、1分毎に増えていく賞金額が全く違う設定となっているわけです。ゲーム開始時、参加者全員に共通するメリットは、「なるべく居続ける時間を引き延ばそう」ということだけ。この、タイムリミット物ではなくて逆に時間無制限という設定が、とんでもない地獄へと導いていくわけです。

 そして入居して比較的すぐに、残り時間があと24時間程度と表示され、それではどう計算しても必要なお金を得られないため、「残り時間を増やすため」に参加者全員が「どうすれば増えるのか」と、その謎をとこうとします。そこで8階の居住者であるチョン・ウヒ演じる「8階」だけが知っていた、「残り時間を増やす方法」とは・・・?

 このあたりになると、壁面に設けられた階段(8階まで各階ごとの折り返しで続いている)を始めとして、いろいろなものがあえて嘘くさい作りになっていて、ゲーム参加者は皆「これはいったい何をやらされているんだ?」と疑心暗鬼になってくるわけです。参加者たちが強制的に着せられるユニフォームも、いかにも「虚構」のメタファーであるかのような、「ポケットだと思ったものは、それは服にただ線が書かれているだけ」のもので、全体として絵的な世界観の作り方がすごく上手だな、と思いました。

ご注意:暴力シーンの耐性がない人は途中見てられなくなります

 参加者が集められた8階建ての建物ですが、トイレもシャワーもないんですよね。このことが、後々になって少し大きな問題となります。参加者は得た賞金で買い物ができる設定なので、簡易トイレを買ったりするわけですが、物価はなんと外の世界の100倍。物価が100倍ということは、買い物一つするにしても、賞金の高い階の人と低い階の人では考え方が全く異なってくるわけですよね。この物価100倍システムをはじめとして、ゲームのあらゆる設定が「参加者の不公平感を最大限にあおる」ということを目的として作られているかのようで、ゲームの途中である一人の参加者が、その「不公平を最大にあおる」設定と、そのほかのゲーム設定を利用することによって、「自分一人が圧倒的有利に立てる」ことに気づくわけです。そしてその参加者は、容赦なくその方法を行使します。

 ここから8人は階級化と序列化がかなり熾烈なものとなり、「自分の欲望と金のためには他人を犠牲にしてもなんとも思わない人」と「そんな生き方はできない人」と「優柔不断な人」とに完全に分かれてしまって、なかなかの地獄絵図が続きます。

 「自分の欲望と金のためには他人を犠牲にしてもなんとも思わない人」は、その定義どおりに暴力をなんとも思わないため、他の人を征服するための道具として平気で暴力に訴える人として描かれています。

 このくだりで、相当な暴力描写がかなり繰り返し繰り返し、続いていきます。ドラマとしてはそこそこ面白いんですが、この暴力描写が僕には度を超えたものに思えて、少し辛かったな。そして当然のことながら、「暴力を振るわれたから暴力でお返ししてやる」と考える人もいて、完全に狂気に支配された世界が出現します。

 暴力シーンを見たくない人は、このドラマ見ないほうがいいと思います。まあ、第8話のラストシーン見て、ああ、そういう設定ならまあ少しは許容できるかな・・・とい気分にはなったんですけど。

エンドロール始まってももう少し見てないとダメですよ。

 ドラマのラスト、カメラがどんどん上に引いていって、バンっと真っ暗な画面になったあと、ワンテンポ置いてエンドロールが始まります。でもここで消しちゃダメですよ。ちょっとエンドロールが続いたあとで、本物のエンディングが待ってますから。

 まあ、あのエンディングについては、「実際どうだったかは視聴者の想像に委ねます」という終わり方で、なんといいますか、親切な終わり方だったかな、と思います笑

★以下、ネタバレ少しあります★

 以下、エンディングに関してのネタバレがありますので、未視聴の方はご遠慮ください。

 

 

 このドラマは一応、最後に7階のキャストだった映画監督(?)が、プロデューサーに「・・・という脚本を書いてみましたが、どーすか?」となってるシーンで、A4用紙に印刷された脚本の原案をプロデューサーがパタンと閉じて「面白いね!やってくれると思ってたよ!」と告げるシーンで終わりとなります。要するに、これまで見せられていたドラマは、「脚本の内容を映像化しました」という意味ですよね。

 そして、それが本当に「脚本」なのか「実際の経験」だったのかは、視聴者の想像に委ねますよ、という、含みを持たせた終わり方です。

 まあ、それはどっちでもいいんです、もはや笑

 いずれにしても、「・・・という脚本なんですけどどーすかね?」というプレゼンをしているということであれば、まあ、あの延々と続いた暴力シーンに対して、少しはエクスキューズになるのかな、という感じはしました。

 この最後の、「脚本の内容をそのまま映像化して視聴者に見せました」というトリックは、ずいぶん前にフランソワ・オゾン監督が「スイミング・プール」(2003年)という映画でやった手法で、全然新しいものではありません。フランソワ・オゾンスイミング・プールは、避暑地の別荘にやってきた初老の女性作家が、作品を書けなくなって悩んでいる姿が描かれるんですが、その別荘に、編集者の娘である、奔放でわがままでセクシーなリュディヴィーヌ・サニエ(役名・ジュリー)がやってきて、さんざんに老作家の心と生活をかき乱す、というストーリーなんです。そしてその、リュディヴィーヌ・サニエ演じるジュリーの奔放極まる官能的な日々が、実は初老の女性作家が書いていた新作のストーリーをそのまま映像化してみたんです、という作りとなっています。

 フランソワ・オゾンは僕が知ってる限りその種明かしをしてないので、たぶんあの映画見て「あのラスト、全く意味が分からん!」ってなった人多いんじゃないかな? ラストシーンで、リュディヴィーヌ・サニエが演じてたはずの少女(ジュリー)が、初老の女性作家が訪れていた出版社にやってきて、編集者(少女のパパ)のもとに駆け寄っていくんです。しかし、そこに映し出されたジュリーの姿は、性に奔放で情熱的で「自由」と「わがまま」だけを身にまとって生きてたようなリュディヴィーヌ・サニエとは似ても似つかない、歯列矯正の器具をはめた超マジメ少女だった、というところでエンドロール流れるんですよね。

 終わった瞬間、チンプンカンプンなんですよ笑

 でも、シャーロット・ランプリング演じる老作家の新作の内容を映像化したわけね、と考えると全て腑に落ちる、という、実にもったいぶった作品笑 たしか、エンドロールにかぶって「スイミング・プール」という新作の本の表紙が映るんじゃなかったかな? 忘れちゃったな、違ったらゴメンナサイ。見直す気にもならないし笑

 それに比べると、あからさまに「・・・っていう脚本書きましたけど、どうです?」で終わってる本作は、親切な作りだな、と思った次第です笑

 あと、強制的に眠らせない罰を執行してる時、まぶたが落ちてこない器具を装着させてるじゃないですか。あれはほぼ同じ器具を使用しているシーンがスタンリー・キューブリック監督の「時計じかけのオレンジ」(1971年)の中にありまして、まあオマージュと言っていいようなものだとは思うんですが、「時計じかけのオレンジ」自体がかなり強烈な暴力シーンのある映画なので、思い出してちょっとつらくなりました。

 まあ、そんなこともあるさ。どんまい64歳 笑

 

★ドラマの得点 10点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

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パリオリンピックを見てて思ったこと

 僕は長いことテニス観戦を趣味としていまして、推している選手はチェコの選手とカナダの選手だったりします(女子の選手)。WOWOWは男子のツアーしか中継してくれないし、DAZNは女子のツアーやってくれるんですがアーカイブがなくて、海外のツアーだと結局夜中に視聴しなきゃならないし、料金高すぎなので、インターネットで中継をやってるサイトを探しまくって、推しの選手の試合を観戦しています。

 もう3年以上推してるので、推しの選手が日本の選手と戦っても、普通に僕はチェコとカナダの推し選手を応援します。男子のテニスもそうです。悪いけど、西岡選手とか、「日本人だから」という理由では一切応援しません。(西岡選手の人柄は凄く好きですけどね。彼のYoutubeチャンネルも面白いですし。)

 応援する選手は、やはり第一にプレースタイルなんですよ。(あと、第二に顔・・・笑)僕の応援するチェコの選手はたぶん全選手中いちばんボレーが上手いですし、全選手中いちばん、フォアハンドの打ち方がカッコいい。

 そういうふうに、「日本人だから応援」という枠を外してスポーツを観戦すると、そのスポーツの持つ本当の面白さとか迫力に触れることができるような気がして、もう長いことそうしてます。錦織が全盛期のときはメッチャ応援しましたけどね。彼はプレースタイルが独創的で、本当に面白いテニスしてたんですよ。応援の理由はそれが中心でした。

 なのに、今回のパリオリンピックの柔道の選手たち、団体戦で負けたあと「本当に申し訳ありません」って・・・毎度毎度のこととは言え、かわいそうに。そんな気分になるなんて。もうほんとに、国威発揚とかナショナリズムとかばかばかしいこと、やめればいいのに。

 たぶん、あの謝罪を見た日本人の大半は「いや、謝る必要なんかないよ」って思ったはずなんですけど、もう一歩前に出て、「いや、謝るなんて全然筋違いだからむしろやめてくれない?」ぐらいのテンションになったほうがいいんじゃないですかね。選手であるあんたたちがナショナリズムの塊になってどーする。

 だって、あんたたちが自分が好きで始めたスポーツで、あんたたちが自分で頑張って、あんたたちの大会として迎えたオリンピックなんだから。要は、「好きだから」というとても個人的な理由で始めたんでしょ、そのスポーツ? 我々はそのプロセスに一切関係ないし、超頑張ってるあんたたちの姿を見せてもらってるだけで、それだけでもたいへんな贅沢だと思うんだけど。我々は一切頑張ってないからね。でも、頑張る尊さは知ってるつもりだからさ。

 あんたたちみたいに頑張れたり、あんたたちみたいに結果まで出してオリンピックにまで出るなんて、我々は誰にもできないよ、そんなこと。それだけで羨望と尊敬しかないのに。素晴らしい人生じゃないですか。

 僕個人としては、あんたたちは「日本という国家」を代表してるなんて1ミリも思ってないから、そんな重たいもの脱ぎ捨ててくれていいのに、と思ってる。単に、国別対抗の世界大会で、日本の国内予選を勝ち上がった凄い人なんだから。

                   ★

 ってわけなので、柔道の団体戦、1勝3敗から大逆転したフランス、ものすごくカッコよかったんですよ。「ニッポン頑張れ」だけで見てると、そういう面白さ、まったく伝わらないんじゃないかな? 阿部一二三選手に勝った相手のフランス選手も、本当にギリギリの必死の戦いだったし、斉藤選手に2回続けて勝ったリネールも、本当に余裕なくて必死の戦いだったはず。あの極限状況の中で王者の強さをしっかり見せつけるだなんて、本当に素晴らしかった。そして斉藤選手の気迫も素晴らしかった。

 だからリネールが最終的に斉藤選手を投げたとき、僕は思わず「おお!凄い!」と声を上げてしまいました。ほんとに、カッコよかったです。

 サッカーの女子の対アメリカ戦も、ちょっと作業をしながら横目で見てましたが、本当にタイトな戦いで、素晴らしい一戦だったと思います。だけど、延長のあの時間に、あんなピンポイントのコースでゴールを決めたアメリカのあの選手、やっぱりものすごくカッコよかったです。僕はサッカーはそんなに詳しくないとは言え、あれがとても引き締まったいい試合だったことぐらいはわかります。

 あと、卓球女子では、日本の選手と韓国の選手が戦ったとき、プレースタイルを見ていてなんとなく韓国の選手の応援に回ってました。

 今回、女子のテニスの一回戦で僕の推し同士が対戦するという夢のようなゴールデンカードがあったんですが、当然のごとくどこでもそんなマイナーな試合の中継はなく、しょうがないので用もないTVerをインストールして見てました。TVerはオリンピック中継はテレビ画面にキャストできない仕様なので、スマホの小さい画面で見てるはめになってちょっと残念。

 まあ、そんなこんなでテレビ中継も21世紀のこの世の中になっていまだに「国威発揚」的な中継ばかり続けてるし、なんだかんだ言ってオリンピックあまり見なくなりました。前回の東京オリンピックは個人的にボイコットしてたので、久しぶりのオリンピックではあったんですが、若い頃のようにワクワクしながら見るということがなくなってきました。

 まあそんなこともあるさ64歳。どんまい笑

 

【韓ドラ】評判作が自分にフィットしないとき

韓ドラ大好き同士で全く話が噛み合わないとき

 以前、仕事の上での知り合いの30代女性で、物凄くいろいろな価値観が合って、仕事や人生に対する考え方も似ていた(と、浅くて軽い会話の中では思えた)方がいらっしゃいました。お目にかかったのはわずか数回なのですが、お話しをするうち「韓国ドラマ大好き」という共通点があることを知り、情報共有を図ったんですが・・・

 いや、驚くほどドラマの趣味だけは、まったく合いませんで笑

 僕が過去に好きだった作品名をいくつか挙げたんですが、たとえば「環魂」。僕は稀に見る素晴らしいドラマだと思ってるんですが、彼女は「いやわたしイ・ジェウクさんの顔がダメなんですよ・・・」

 あ、それは残念ですねー笑 僕がクイーンのフレディ・マーキュリーの顔がダメなのと同じですねー笑

 あと、「マイ・ディア・ミスター」の名前を挙げたときは、「あれ、最初2話ぐらい見ましたけど、あれって面白いんでしょうか・・・」

 あー。2話見てダメならダメですねーきっと。

 あといくつか作品挙げたんですけど、どれもこれも「いやわたしあれダメなんですよ・・・」という残念な展開が続き、満を持して「ムービングは絶対面白いですよ!」的なお話しをしても、そのときにはすでに、

 「あー・・・そうなんですねー・・・」

 という反応しか返ってこない状態となっておりました笑

 ありますよね、こういういことって笑

 「韓ドラ好き」はそれが一つのカテゴリーじゃなくて、かなり細分化されているというわけです。「韓ドラ好き」でひとくくりにしてると、このように話が噛み合わないときに「あれ?」ってなっちゃうかもしれませんね。

 好みの問題なので、こうしたことは当たり前ですが、言い争うことではありません。僕は「韓ドラ好き」な人っていいなと思うのは、こういう「好みの違い」で言い争ったりすることがまったくない、という点ですね。

 みんなわかってるから。「わたしあれダメなんですよー」って聞いても、「残念」以上のことはなにも思わないわけです。みんな、「あれダメ」な作品ありますもんね。

 ちなみに、彼女がものすごく面白いと言って勧めてくださったドラマを一本見てみたんですが、第1話ですでに面白くなく、第2話を超人的な努力で見終えて、離脱となりました笑

 唯一趣味が合ったのが、「イ・ドゥナ」」かな。あれはお勧めされて観てみて、素晴らしかった。だから、あと何度かお目にかかる機会がもしあったなら、もう少し好みの一致を発見できたかもしれません。お仕事の知り合いの方なんでね、もうお目にかかる機会はないんですけど。

大評判作を見ても面白くないとき

 そもそも、ドラマを作るときは、制作側は「作品のターゲット」というのをかなり明確な形にして制作を進めるはずです。マーケティング的な観点で言いますと、ターゲットはピンポイントに絞り込めば絞り込むほど波及効果が大きく、当初ターゲットとして想定していた層を遥かに上回る効果が上がったりもします。

 そして、大ヒット作は必ず、「ものすごくたくさんの人が見た」作品なわけですから、これをつまり逆に言うと、「ものすごくいろんな層の人が見ても楽しめる」作品に仕上がった、というわけですよね。

 その点僕は、64歳男性ですから、あらかじめ、作品のメインターゲットとして想定されることがほぼ絶対にない属性なわけですよ、ええ笑

 だから、大ヒット作とか、人気作とか、評判作とか見ても、全然ダメな場合が多々あります・・・残念・・・

 でもまあ、みんなそうしてるんじゃないかと思いますけど、そういうときはさっさとためらわずに離脱します笑 他に見たい作品がいっぱいあるしね笑 とても、死ぬまでに追いつけないほど作品がある笑

 最近ダメだった作品で言うと、「サムダルリへようこそ」、僕はあれダメでした・・・。主演のシン・ヘソンさん大好きだし、お姉さん役のシン・ドンミさんも大好きなので、ものすごく楽しみにしてた作品でした。しかし、なんと第12話まで頑張って観たにもかかわらず、離脱・・・。12話で離脱になったのは、僕の最長回数です。「サムダルリへようこそ」面白いよね! の話の輪に加わりたかったんですが、残念・・・。なにがダメだったのかと言うと、シン・ヘソンさんが演じるカメラマンが、ドラマの冒頭でアシスタントに裏切られるじゃないですか。僕は仕事柄、ものすごくたくさんのカメラマンとお付き合いがあったんですけど、あんなアシスタント、絶対に、どこにもいないです・・・そこが嘘くさかったら、ダメだったのかなー?

 カメラマンとアシスタントの実力の差は歴然としていて、それを身に沁みてわかっていないアシスタントなんかいないですし、あんな形でカメラマンを押しのけてその座を獲得した「アシスタント上がり」を起用するクライアントなんて、絶対いないし笑 ポートフォリオ見たら一発で歴然なんすよ、それって。あと、カメラマンの本当の腕の違いは「構図の作り方」とかじゃなくて、スチールの場合は「ライティング」が命だったりするんですけど、そのあたりのことも全然扱い雑だったので、「いや、こんなアシ君どこにもいないよねー」となってしまい、その時点でダメだったのかも。だから、その後の展開も、チェジュ島の田舎の話なのに、若い出演者の方がみんな都会的に洗練された顔に見えちゃったりもして、そんなところが気になり始めて残念な結果となりました。

 あとね、もっと最近では「ソンジェ背負って走れ」

 もう、大旋風を巻き起こした作品で、これも大きな期待を持ってワクワクしながら観始めたんですが・・・

 第2話を終わったあたりで、「これって、この先面白くなるんだよね?」と自分に言い聞かせ、第4話が終わったあたりで、「いや、たぶんこれ、こんなドラマなんだな」となって、あえなく離脱。ソンジェ背負って走れって、ピョン・ウソクさんを見て激烈にうっとりする、というドラマですよねきっと?

 ヘリちゃんのYouTubeチャンネルの「ヘリズ・クラブ」というコンテンツでピョン・ウソクさんがゲストで来たとき、ヘリちゃんは「わたしが実際に会った芸能人の中でダントツにカッコいいのがピョン・ウソクさん」と言ってましたが、要はソンジェ、そういうことですよね?笑 チャン・ギヨンと共演したヘリちゃんがそんなこと言うぐらいなんだから、ピョン・ウソク氏、たぶん女性から見たときの魅力と色気が限りなくヤバいんでしょうね。

 でも、僕、64歳男性・・・笑笑

 まあ、こんなこともあるさ笑 どんまい笑