Netflixで「プロボノ」を観ました。チョン・ギョンホさん演じる弁護士法廷ドラマ、という程度の認識しかなかったんですが、予想以上に、はるかにはるかに、面白かったです。僕にとって、チョン・ギョンホさんは実を言うと初めましてで、事前の知識と言えば「少女時代スヨンの恋人」ってことだけ。なのでほとんど興味なかったんですが、いやー、実にいい俳優さんですね。コメディもシリアスも切なさも隠れた優しさも、ものすごく表現力があって、彼の演技にグイグイと引き込まれていきました。さすが、「チョン・ギョンホにハズレなし」と言われてるだけあります。本当に、主演としてドラマを力強く引っ張っていく力のある、素晴らしい俳優さんでした。
ドラマに込められたメッセージが実に力強く、共感と感動が深い
見ていて驚いたのが、コメディタッチかなり強めの第1話から、回が進むに連れて、期待していた以上の深みがどんどん増していくドラマだったこと。なにしろ毎回扱うテーマが、社会的にはなかなかに微妙で難しいものばかりなんですよ。保護犬を巡る問題、障害を持つ少年の損害賠償、難民と排外主義、家庭内DV、アイドルのプライバシーなどなど、扱いをちょっと間違えると炎上に繋がりかねない難しいテーマに、毎回真正面からストレートに切り込んでいきます。こういう敏感でデリケートな問題にとにかく真っ向からまっすぐ向き合って、あらためて「問題」として提示して、みんなで深く考えていくのがこのドラマの大きな特徴だと思います。僕の場合は、ドラマが進めば進むほど共感と感動が深まっていくという、中身の濃い展開にかなり驚きながらの視聴となりました。
とくに、物語を通して、「社会における『優しさ』や『思いやり』ってやっぱりとても大切なものだよね」と、今のようなギスギスした時代だからこそ、忘れてはならないものを再確認させてくれるドラマだったと思います。「優しさ」や「思いやり」は大切なものだ・・・なんて、人として当たり前のことじゃないですか。でも、SNS上に罵り合いや人を刺すような言葉が溢れかえっている今、「もっと優しくなろうよ」というストレートなメッセージを出すのって、逆になかなか勇気のいることなんじゃないかと思います。「優しさと思いやり」が大切だなんて、幼稚園で習うようなことなのにね。いま、それを失ってしまった人があまりに多すぎるんじゃないかと改めて思わせてくれる、力強いメッセージのあるドラマでした。
「プロボノ」とは、社会課題の解決のために無償で専門スキルを提供すること
本作の導入部のあらすじをざっくりと。チョン・ギョンホさんが演じるのは、裁判官として痛快な判決を出して「国民判事」とまで言われる、人気のカン・ダウィ判事。しかし彼は、最高裁判所の判事への推薦を目前に控えて、自分でも信じられないスキャンダルで、ある日突然失脚してしまいます。そして判事を辞職して、拾われた大手弁護士事務所にて、・・・というところから物語が始まります。これまでの実績から当然、新天地の弁護士事務所で「スター弁護士」としての活躍を想像していた彼でしたが、配属されたのは、日が差し込まない地下室の部屋で、きのこを育ててるネクラ弁護士さえいる「プロボノチーム」。これは「公益訴訟チーム」のことで、地域貢献を目的としているため弁護士報酬はゼロ。なおかつ「問題提起」が目的のため、裁判での勝ち負けすら気にかけていない、という、「負けても平気」な人たちの集まるチームでした。彼はこのチームにおいても、「勝たなきゃ意味がないだろ!」とメンバーの士気を鼓舞するんですが、なかなか彼らの気持ちとのギャップは埋まらず・・・。そして、実際の裁判を通して仲間との信頼関係ができていくんですが、彼が判事をやめることになった「スキャンダル」が仲間に知られることになってしまい、信頼関係に大きな亀裂が・・というのが大まかなあらすじです。
本作は、脚本を書いている方が元裁判官の方だそうで、法廷でのやり取りや、法律でできることとできないことの境界線などがとてもリアルに描かれています。そのリアリティが迫力満点で、ドラマに深みと強さを与え、観ている我々の没入感もどんどんマックスになっていきます。
ちなみに、キムサブ観てた人なら、今回のプロボノチーム、「おー、キムサブチームじゃん」というちょっとした喜びも得られます笑
コメディパートとシリアスパートのバランスが抜群
本作を一言で表現するなら、「社会正義を実現するリーガルコメディ」という感じになるのかな? 扱っているテーマがなかなか重たいものが多いだけに、ドラマを重くしすぎないコメディパートはとても重要だったのではないかと思いますが、そもそもチョン・ギョンホさん、コメディがすごく上手な人なんですねー! 「アイドルのプライベート問題」の回では、チョン・ギョンホ演じるカン・ダウィがその「当代随一のアイドル(劇中設定)」のことを知らずに、仲間から「先生が知ってる最後のアイドルっていったい誰なんですか?」とバカにされるシーンがあります。すると彼はその瞬間に、なんと少女時代のジーニーの脚ダンスを一瞬踊って見せながら、「少女時代・・・」と言いかけるんですよ笑笑
共演のソ・ジュヨンさんによると、このジーニーの脚ダンスは台本には全く書かれてなくて、現場でのチョン・ギョンホさんの完全なアドリブだったそうです。少女時代の好きな方は、この一瞬の脚ダンスを見るためだけに本作を観始めても良いんじゃないかとさえ思いましたよ笑
本作はコメディパートもかなり軽いタッチで軽快に面白いので、「扱うテーマは重たい」けれども「肩が凝らずに軽いタッチで観ていられる」ドラマで、重たいテーマについても知らず知らずに一緒に考えさせられるような、良作でした。「法律」という冷たくて厳重で全く融通の効かない素材を通して、人間として必要な「温かさ」や「優しさ」や「思いやり」をうまく描ききった、とてもいい作品だったと思います。
★ドラマの得点 12点(ナムグン・ミンの「ドクター・プリズナー」を10点としたときの評価です)
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