オットケテンゴヤ?

韓ドラの話題90%以上(好みの合わない方ゴメンナサイ)

【韓ドラ】彼女はキレイだった/王道の中の王道、名作ラブコメ

 2015年の作品、『彼女はキレイだった』を観ました。全然知らなかったんですが、放映時の視聴率がなかなかのもので、受賞歴もたくさんあって、しかも日本と中国でリメイクされた人気作なんですね。日本版は小芝風花ちゃんがやってるらしいんで、一瞬そっちを見ようかとも思ったんですが、日本版がオリジナル韓国版のクオリティを超えるとはちょっと思えなかったのでやはりオリジナル版で観ました。(もちろん、実際はほぼ迷いなし・笑)

www.youtube.com

人間の「美しい面」だけを切り取って描いた、名作ラブコメ

 本作は、観た人なら分かると思いますが、とてもわかりやすく言うと「ご都合主義・ラブコメテンプレ全部盛りスペシャル」みたいな作品で、もう本当にツッコミどころ満載だし、主演女優やや演技過剰だし、またその設定??みたいなところいっぱいあるんですけど、それでいてストレートにすごく面白い、しかも超癒やされて幸せな気分になれる名作です。見終わった後に「あーよかったー!」ってこれほどストレートに幸せに浸れる作品もなかなか少ないのでは?

 それはなぜなら、登場人物の中に、「他人を陥れよう」とか「なるべく汚い手を使おう」という悪人が一人もいない 登場人物がそれぞれのポジションで、みんなひたむきに一生懸命頑張る いさかいが起こっても、ちゃんとコミュニケーションで(泣きながらでも)解決しようとする いさかいは、とにかくみんなが「全力」「自分に正直」であるがゆえに起こる種類のものばかり 登場人物がとにかくたくさん泣く 登場人物がみんな、困難に正面から立ち向かおうとする 人生に訪れる「不幸」と「幸せ」の量は同じだというメッセージがあって、みんなが人生の辛いところを超えていこうとする ・・・という、本当に「人間の美しいところ」だけをじっくり丁寧に掘り下げて描いて、なおかつ、それらをコメディタッチの軽い味付けで描いているから、テンプレ全部盛りなのに面白いんですよね。しかも、「えー??そうだったの?」という意外性もちょっとありで、これらを全部盛り込んでいながらなおかつ物語として見やすさを最後まで損なうことなく、完成度の高い作品だと思いました。

2015年の時点でこんなにテンプレが確立されてる笑

 僕はそもそも韓ドラ視聴がまだトータル50作前後の中級者で、しかもその中でもジャンルとしては「ラブコメ」がいちばん視聴数少ないので、いわゆる「ラブコメの黄金テンプレ」がいつのどの作品から確立されてきたのかって分からないんです。本作は今から9年前の作品でもあり、そうしたテンプレのかなり初期にあたるんでしょうかね?それとも本作制作時点で、すでに確立されたテンプレだったんでしょうか?

 まあそのあたりはわからないんですが、ラブコメ視聴数少なめの僕でさえ「またこれ?笑」と笑ったあからさまなテンプレを列挙してみますと・・・

 ①超絶イケメンで仕事完璧な男子と、ごくごく普通の女の子設定の組み合わせ

 ②イケメンは普段の顔は超クール、でも笑うと可愛くてデレデレ

 ③出会いは最悪・・・からの徐々に距離を詰めていって少しづつ理解し合う

 ④イケメンが「子供の頃の雨の日の事故」にトラウマを持っている率、高すぎ

 ⑤主人公の女の子には、超美人の友だちがいる

 ⑥その美人友達に、身代わりデートに行ってもらう率、高い

 ⑦かなりしばらくの間、イケメンは主人公の女子をウザいと思ってる

 ⑧しかしイケメンはある時ふと自分の恋心に気づいて、あっさりそれを受け入れる

 ⑨イケメンはストレートに恋心を伝えるが、ややしばらく女の子は受け入れない

 ⑩その場合、「好きなのに受け入れられない」各種事情がある

 ⑪ツーショットのとき、画角の中の2人の立ち位置が、心理的な距離を表している

 ⑫2人で海に行きがち

 ⑬サービスカットとして、イケメンのシャワーシーン(上半身裸)あり

 ⑭ラストからちょっと前に、2人はいったん離れ離れになる

 ⑮最終的には、「イケメンが普通の女の子に熱烈に恋をする」ところに収まる

 ⑯ちょっとだけバッドエンドの予感を抱かせながら、ハッピーエンドになる

 ・・・と、思いつくだけ書いてみてもこんなにある笑 別にメモを取りながらドラマを見てるわけじゃないので、細かく見ていけばもっとあるかもしれませんね。

 そしてこのテンプレ列挙しててよーーーく分かりましたが、僕高齢者男性は、こうしたラブコメのターゲットではないですね、明らかに笑

恋と、仕事と、人との出会いや別れを通して成長する姿に共感

 本作、タイトルが「彼女はキレイだった」と過去形で、あたかも今はキレイではないかのようなタイトルですし、ネトフリの紹介文でも「才色兼備のお嬢様だった少女時代から外見が180度変わってしまった彼女と、完璧な男に生まれ変わった彼。」というコピーで、サイトによっては「残念な見た目に成長してしまった彼女」みたいな表現もあったりするんですが、しかしそんな「ルッキズム」由来の話じゃないんですよね。

 だって、大人になった彼女はクリクリの髪の毛でソバカスたくさんで赤ら顔・・・みたいな「ブサイクメイク」なんですけど、いやいや、普通に、人としてとてもかわいい人なんですよ。登場人物の中にも、その点をいち早く見抜いてた人、いるじゃないですか。だから別に「美少女が成長したら残念な外見になった」わけじゃなくて、彼女が「自分に対して全く自信を持てない」という大人に成長してしまった、というだけなんですよね。

 そんな彼女が、「恋と、仕事と、人との出会いや別れを通して成長していき、とまどいながらも自信を持って、新しい自分への第一歩を踏み出していく」というのが本作のいちばんの筋なので、それが脚本完璧で演出完璧な場合、面白いに決まってるじゃないですか。

 そして本作では、他の登場人物もとても丁寧に描かれていて、みんながそれぞれ、最後には「新しい人生の一歩」を踏み出す形で終わります。それはやはり、とても素晴らしい瞬間だと思いましたし、とても丁寧に作られているな、という感じです。

 ツッコミどころもたくさんあるんですけどね笑 中でも、クルクルの髪をストパーで伸ばしてヘアスタイル変えて、メイクでソバカス全部消して美人に変身しました・・・ってなってからの主人公、もうほとんどアイデンティティの喪失で、「あれ?あなた誰?」っていうぐらい見た目違うんだけど笑

 まあ、最後にクルクル髪に戻ってソバカス全開のメイクで「素の自分」に戻って新しい人生に踏み出す、という形なので、ラストすごい良かったです。

 あとね、個人的にはシン・ヘソンさんがドライブでトイレに行くシーンがツボでしたねー笑 全編通してあの場面がいちばん笑った! もう一つちょっとだけ思ったのが、本作と各種設定が酷似してる『社内お見合い』の主人公の名前が「シン・ハリ」で、本作の主人公の親友の名前が「ミン・ハリ」なのは、社内お見合い側から本作へのオマージュなのかな・・・と。ま、考え過ぎかもしれないけど。

 

★ドラマの得点 11点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

★こちらもご覧ください★【ネタバレ】シーシュポス最終回:謎解き完全解読