なぜあえて弁護士モノを??ウ・ヨンウと戦うの?
弁護士を主役としたドラマとしては、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」という大金字塔があり、百想の大賞まで受賞して評価がすでに確定しているのに、それに対抗してあえて同じジャンルの「弁護士モノ」で、しかもチョ・スンウ氏を起用して、さらに「ムービング」のガンフンのお父さん役(とかD.P.-脱走兵追跡官-の上官役)でおなじみのキム・ソンギュン氏まで配して、いったい「ウ・ヨンウ」とどう戦うだろうか・・・・というのが見る前の率直な危惧でした笑
これで面白くなかったら、相当な企画倒れだよなこれ・・・
と思いつつ、「シーシュポス」のチョ・スンウさんがとても良かったので、チョ・スンウさん見たさに今回見てみたわけです。
結論としては、最終的にとても面白いドラマだった!
なぜならこのドラマ、ウ・ヨンウとは全く戦ってなかった笑
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、ものすごくざっくりと一言でいうと、「自閉症スペクトラムの新人弁護士ウ・ヨンウの成長物語」なんだけど、「離婚弁護士シン・ソンハン」は、別に誰も成長しない笑
あと、ウ・ヨンウは天才的にあらゆる法律を駆使して、あっと驚くような法廷戦術を展開しますが、シン・ソンハンは全然天才タイプではないし、そもそも「リーガルドラマ」というよりは、「離婚専門の弁護士」を中心とした、コメディ色の強い群像劇と言ったほうがしっくりくる感じです。
いやその、群像劇とコメディが本当に素晴らしかったのですよ!!!笑
こんなに腹を抱えて笑ったのは「エクストリーム・ジョブ」以来でした。
3バカの描き方が実に素晴らしかった!
3バカというと語弊があるけど、簡単に言うと「私の解放日誌」の3兄弟とか、「マイディア・ミスター」の3兄弟とか、つまりあんな感じの役回り。
「私の解放日誌」ではイ・ミンギが延々とどうでもいい話をペラペラしゃべりまくるし、「マイ・ディア・ミスター」ではカーブに軽トラで突っ込んでいって結局横転するし、まあそれぞれ「バカ丸出し」でコメディパートとして大変優秀だったわけです。しかしもちろん、コメディパートとはいえ、イ・ミンギのくだらない饒舌ぶりだったり、軽トラの横転にしても、それは彼らの抱える人生の閉塞感の裏返しの表現だったりするわけですよね。
そうなんです、「私の解放日誌」も「マイ・ディア・ミスター」も、3バカのパートはすべてが「どうにもならない人生」を「どうにかしたい」という気持ちの裏返しとして描かれているんですが、本作「離婚弁護士 シン・ソンハン」では、そういう複雑な背景はほぼ関係なく、3バカがひたすら面白い!!!
ドラマが進んでいくと、リーガルパートよりも3バカのパートが楽しみになってくるぐらい。
3人でキャンプに行って、誰も一言も喋らないで黙々と肉を焼いて食べるシーンとか、みんな無愛想な顔してるけど楽しそうだし笑 つまり、誰も何も喋らないで肉食ってるだけでもう画面が面白いんですよ。
3バカのパートでは、本当にこんな脚本良く書けるもんだな、というぐらい、「バカバカしさの純度100%」みたいな会話ばっかりです。見ていて「いやこれって絶対アドリブだよね」と思うセリフもいっぱい。
そして演じる3人の会話のテンポや表情や感情表現や突っ込み方なんかが本当に自然で、ものすごいリアリティがあるんですよね。本当に素晴らしかった!
第9話は韓ドラ史上に残る面白さ(注:バカバカしさ方面で)
本当言うと、7話〜8話ぐらいで中だるみがあって、一瞬離脱を考えるぐらいちょっと眠たくなったんですが、第9話で予想外の大爆発!
主要キャスト全員揃っての打ち上げのシーンがあるんですが、そこでの会話が、なにしろ面白すぎた! 僕的には、韓ドラ史上最高の大爆笑で、あんなに涙が出そうになるぐらい笑ったことはなかったなー!
あんなくだらない、バカバカしいけど面白いだけのことをよくあんなふうに演じられるもんだと思います。打ち上げのシーン、4回ぐらい繰り返し見た笑 その都度爆笑したし、翌日になっても思い出し笑いが止まらなかった笑 あのシーンのどこまでが脚本で、どこまでがアドリブなんだろう?脚本だとしてもアドリブだとしても、あれは面白すぎです。
思うに、あれほどくだらなくてバカバカしくて中身のまったくない会話で見てる方を笑わせるというのは、やはり演技力がすごいんですよね。ドラマのリアリティって、役者さんの演技力に依存する部分がかなり多いな、と実感させられた作品でした。
しかし、バカバカしいシーン以外にもちゃんとドラマらしいシーンももちろんいっぱいあるんですが、チョ・スンウさん、本当に素晴らしい役者さんですねー!「秘密の森」見たときには、全く感情表現のない演技だったので全然気づかなかったんですが、「シーシュポス」ではけっこうな顔面天才ぶりで(右からのアングルが少しソン・ソックに似てる)緊迫感のある演技見せてくれましたし、本作ではコメディパートもリーガルパートもどちらも素晴らしかった。
意外や意外、登場人物のそれぞれのキャラがリアルに自分の中にすっと入ってきた今では、もう一度最初から見てもいいな、と思えるほどのドラマとなりました。
ひとつ書き忘れてた!
本作ではウ・ヨンウのお父さんが敵の役で出演してるんですが、あんなに誠実そうにキンパを作ってたお父さん、本作ではすごい悪い顔をして、なんなら口が臭そうで全身タバコ臭いんじゃないかぐらいの悪い存在感を出してました!
いやー、みんなほんと演技上手いなー。
★ドラマの得点 12点★
(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)
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