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【韓ドラ】恋愛体質~30歳になれば大丈夫/面白すぎるから何回でも見たい

 一時期イ・ジュビンさんが出てる作品をいろいろ見たくて、YouTubeでなんとなく映像を漁ってるうちに、「なんかしょぼい踊りを踊ってるイ・ジュビンが、映像監督役のソン・ソックにメッチャすごい勢いで罵倒される」というシーンに行き当たりまして、これはぜひ見なくては、となったのが【恋愛体質〜30歳になれば大丈夫】でした。

 これ、タイトル見て分かるとおり、64歳男子の僕はまったくターゲットとされていません笑 ・・・なので、こういうきっかけがなければ、たぶん見ないでいたドラマだったかもです。でも、これは本当に見てよかった!あまりに好きすぎて、見終わってすぐに2周めに入ったほど笑 2周め終わってすぐ3周目に入っても良かったぐらいなんですが、まあU-NEXTで配信終了にならない限りいつでも見られるのでね笑

 ほんと、これを見るためだけにU-NEXT加入してもいいぐらいだと思います。

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64年間で見た映像作品の中で、これがいちばん大好き

 僕は10代の頃からずーーーっと映画が大好きで、「起きている時間は仕事以外に何もする余裕がなかった」という時代を除くと、だいたい継続していろんな映像作品を見てきました。64歳なのでチリも積もればでかなり膨大な量を見てると思うんですが、たぶんこの作品が、これまで見た中で最高に大好きな作品です。好きすぎて、一生何回でも繰り返して見たいほど。

 映画/ドラマの映像作品の中で、僕が過去に見たもののうち完成度が最も高くて、映像芸術の最高到達点だと思うのが「マルホランド・ドライブ」で、好きな映画は「フランシス・ハ」とか「ミレニアム・ドラゴンタトゥーの女」。ドラマなら圧倒的に「ムービング」が凄くて「環魂」も文句なしの凄さだと思うんですが、本作にはそうした「凄い」部分が一個もありません笑 だから作品の「総合評価」としてはムービングや環魂より少し下にはなるんですが、単純に「面白かった」ポイントだけで作品を評価するなら、この作品がダントツです。なにしろ、ひたすら面白くて、単にひたすら心が温かくなって、登場人物がみんな好きになります。

 ムービングや環魂をもう一度全話見ようとすると、けっこうな覚悟と体力が必要となりますが、本作は覚悟も体力もいらない笑 なんなら、何かの作業のBGVとして流しててもいいぐらい笑

素晴らしい群像劇、そして素晴らしいコメディパート

 本作は基本的に、30歳を迎えた女3人と、それを取り巻く人たちの群像劇ドラマで、スタイルとしてはほぼシットコムWiki)です。子供の頃「奥さまは魔女」とか「パートリッジ・ファミリー」とか、アメリカのシットコムをけっこう夢中になって見てましたが、いいですよね、シットコム。肩がこらなくて。

 で、本作はただのシットコムではなくて、群像劇パートも実に素晴らしいのが大きな特徴です。登場人物多いんですが、それぞれものすごくキャラが立ってて、しかも「あなた誰でしたっけ?」ってなってしまう人が一人もいなかった。そして、登場人物一人ひとりの人生の断片がとても丁寧に描かれていて、見てるうちに思い入れが深くなってきて、一緒にすすり泣いたりゲラゲラ笑ったりするようになってしまいます。

 見終わったあとで考えると、モブキャラがほとんどいないし、登場人物けっこう多いのに、見てる側としては混乱したりとっ散らかったりすることがまったくありませんでした。これはやはり脚本と演出がずば抜けてる、ということだと思います。

 その脚本・演出は、「エクストリーム・ジョブ」イ・ビョンホン監督。

 実はエクストリーム・ジョブ大好きなんですが、本作「恋愛体質〜30歳になれば大丈夫」に関しては制作陣の予備知識がまったくないままに見始めて、半分ぐらい見てからずいぶんコメディパートが面白すぎるし、群像劇としても実に手際がいいので、改めて脚本/演出を調べてみたら、なんとイ・ビョンホン監督だったという。うわー。

みんな人生の中で抱えてる問題がなかなか重たいのに、なぜ?

 主人公の女3人は、それぞれ①大作家のアシスタントを首になった駆け出しの脚本家②シングルマザー③亡くした恋人の幻影と常に会話するる女・・・の3人で、それぞれ抱えてる問題は重たいし苦しいし深いんですが、その彼女たちがひとつ屋根の下に暮らしているという設定です。

 ですが、基本的に、お互いベタベタと過剰に支え合ったり慰め合ったり必要以上に分かり合ったりするシーンってまったくなくて、ただバカバカしいことを言い合ったり、夜中にラーメンを食べたり、酔っ払ってくだらないことを言ったり、言い訳したり自己弁護したり体重計に乗って絶叫したり、みんなでドラマを見てどうでもいい感想を言ったりします笑

 なのに、「あなたたちがいてくれるから、なんとか明るく前を向いて生きていける」というあの感じ、どうしてあんなに伝わってくるのか・・・そんなセリフ、ほんとにほぼ一言もないのに。そして、見ているうちに、どうして3人のことを好きになってしまってけっこう感情移入してしまうのか、改めて考えると本当に不思議。

 多分、人生の問題が重たいのに、3人ともその問題にあまりストイックに向き合っていないと言うか、いろんな問題や気持ちを保留にしたまま日々過ごしていて、とりあえずはいったん、落ち込んだり考え込んだりするのも保留して、日々を楽しく頑張ろうよ、というスタンスなんですよね。でも問題が「保留」になっていることや、決してそれがなくなってはいないこと、むしろ心の奥の方ではそれがとても大きな部分を占めていること・・・などを、自分自身が誰よりも心の端っこの方で分かっていたりする、というあたりの描写にものすごくリアリティがありんだと思います。誰しもそういうことあるじゃないですか。むしろ、なるべく「保留」にしたまま向き合いたくないことって、人生には多いし。そして3人とも、できるなら問題に触れないで、やり過ごせるものならやり過ごしていきたい、、、というスタンスなんですが、結局は問題と向き合わなくてはならないときがやってくる。辛くても自分としっかり向き合う必要に迫られる。このあたりの描き方が、「いやーーーーーー、、、そうだよね、、、」と深い共感につながっていくんだと思います。

韓国ドラマあるあるのテンプレがほとんどない

 韓国ドラマでラブストーリーが物語の中にある場合、「ヒロインがなにかにつまづいたり、車とかバイクと接触しそうになったりして、男性が『危ない!』とばかりにとっさにグイッと抱き寄せた瞬間に顔が近づいて一瞬見つめ合うものの、すぐ我に返ってふりほどく」というシーンがドラマ序盤に必ず差し込まれるんですが、本作では、そういうシーンのパロディが見られます。

 チョン・ウヒさん演じる駆け出し脚本家がつまづいて転びそうになり、もう一人の主人公アン・ジェホンさん演じる監督にすがりつこうとして手を出すんですが、アン・ジェホンさん、スイっと体をねじってよけますからね笑 そしてチョン・ウヒさんの手は虚しく空をかきむしり、すっ転ぶという笑 それわざわざスローモーションでやってますから笑 そしてセリフが「危ない!怪我をするところでした!」とアン・ジェホンさんが言うのを受けて、チョン・ウヒさんが「わたし?」という感じで自分を指差すんですが、アン・ジェホンさん、「いやいや、俺がだよ」って笑笑 

 そういうような、韓国ドラマを見慣れてくると、必ず既視感のあるテンプレがどっかにあるのが普通なんですが、本作にはそういうテンプレほぼなし。そこはなんか、制作陣のプライドを感じて面白かったです。

 あと、韓国ドラマあるあるといえば、タイアップシーン。仕事頑張って夜ふかししたときにとにかくKOPIKO食べるとか。あと車を運転するシーンでなんか凄い先進的なボタン操作をしたりとか。サムソンのふたつ折りのスマホとかね。

 でも本作は、タイアップすらパロディにして笑わせてくれます。マーケチームがドラマ内にスポンサーの商品を入れる難しさも面白おかしく表現されてて、いやーなかなか大変なのね、とマーケ関連業界出身の僕なんかは身につまされたりします笑

エクストリーム・ジョブのファンへの隠れたメッセージも笑える

 ドラマの冒頭が劇中劇なんですが、なんとその劇中劇の登場人物が、「エクストリーム・ジョブ」で最後にくっついてガツガツとキスしてたあのふたり笑

 で、冒頭の劇中劇はその2人がなんとなく将来を誓い合うラストシーンの設定で、作品の冒頭からいきなり画面に「ご視聴ありがとうございました」の文字が出てくるんですが、それを見終わった女3人の感想がいきなり、「あの2人別れると思う」

 これはエクストリーム・ジョブのファンとしては思わずニヤリとしてしまうところでした。

 あと、エクストリーム・ジョブに出演してたコンミョンに、「カルビ味のチキン店で働いたことがあります」というセリフ言わせたりとか笑 センスが素晴らしすぎる笑

 ここまで書いてきてようやく分かりましたが、そうなんです、全編にわたってセンスが素晴らしすぎるんです、このドラマ。いやー、いいドラマと出会えてホント幸せだわー笑

 

★ドラマの得点 14点★(ドクター・プリズナーを10点としたときの評価です)

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