ムコバ 6 7
ガデツキ 3 5
自己最高ランクが83位というガデツキに対して、正直、ムコバさんなかなかの苦戦だったと思う。北京でのチャイナ・オープンの激戦のあと、さすがに武漢オープンはパスして、十分リカバーした上で臨んだこの大会。とは言え北京はグランドスラム並みの激戦が続いたし(サバレンカ➡ジェン・チンウェン➡ココ・ガウフという地獄の3連戦ロード)、休み明けのムコバさんはややいつも動き鈍い。しかしながら、それらのことを差し引いても、今回は苦戦だった。一瞬負けそうな雰囲気さえあったほど。
逆に言うと、ガデツキの出来が素晴らしかったと思う。なぜこんな選手が自己最高ランク83位なのか不思議に感じてしまうほどだった。彼女の試合を見たのは今回が初めてだったけど、なにしろ身体が大きくて、サーブもショットもパワーが凄い。ショットのパワーでは明らかにムコバさんを上回っていて、ベースラインより下げられているのはいつもムコバさんの方だった。ムコバ氏、さすがにベースラインから下げられてるだけあって得意のネットもほとんど出られず、しかもガデツキは明らかにビッグサーバーで、あのリターンのうまいムコバさんがまったくタイミング合わせられない球が多かった。ただ、強いショットの多い選手だけにアンフォースト・エラーも多く、勝負はその差だったと思う。ショットの安定感にはまだ欠くとは言え、しかし入ったときのショットのクオリティの高さは並じゃないな、と思わされた。これでもっとショットの正確さ、精度の高さを身につけていけば、来年の今頃はトップ30で試合してグランドスラムでシードがつくような選手になると思う。
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22歳だからレイラ・フェルナンデスと同じ歳。レイラみたいに早熟ではなくて、出てくるのが遅れたけど、あの恵まれた体格を生かせるテニスが完成すれば、将来はジェン・チンウェンのようなタイプに成長できる可能性もあると思う。レイラはいまのところ頭打ちだから、来年には力関係完全に入れ替わるんじゃないかな?
グーグルで検索すると、ガデツキは身長172cmと出るんだけど、これはおそらく間違いではないかな? コイントスのあとの写真撮影では180cmのムコバさんより少し背が高いように見えたし、ゲーム終わって握手して審判のところに行くときにも、少なくともムコバさんより身体が一回り大きな人に見えた。
凄い選手に育ちそうだけど、ムコバさんから見るとやりにくい相手が増えていく感じで、簡単な試合はなかなかないなあ。
で、2回戦はジェン・チンウェンの予定だったんだけどキャンセルになったみたいで、かわりにラッキー・ルーザーのジャクリーヌ・クリスティアンと対戦することになった様子。1回戦Byeのジェン・チンウェンが取り消した場合、そこにラッキールーザー入ってくるのね。なんか変な感じ。それにしても今回の寧波オープンは上位シードが続々取り消して、これはさすがにムコバさん優勝のチャンスかもしれないなあ。このままいくと、3回戦がカリンスカヤ、4回戦がミラ・アンドレーワ、決勝がバドサかな? それほどやりにくい相手はいないと思うんだけど。バドサだけだれか退治してくれるといいな笑
ムコバさん、もともとが休み明けは出力100%にはならないタイプだし、相手が強くなればなるほどエネルギーが出てくるタイプだから、今回の苦戦で身体はだいぶん暖まったのではないかな? クリスティアンには負ける要素ないし、カリンスカヤにもほぼほぼ負けないし、ポイントは初対戦となるアンドレーワだな。頑張れ。
いっぽう、大阪でやってる木下ジャパンオープンは、注目の伊藤あおい選手が2回戦コッチャレットに勝ってしまった!初戦、ソフィア・ケニンに勝った試合は全部見てたんだけど、とにかく、あののらりくらりとした持ち味が全開の試合。ファイナルセット2−5から5ゲーム連取だから本当に大したものだった。今回のコッチャレット戦はムコバさんの試合と時間がかぶって、第1セットの途中までしか見られなかったんだけど、やっぱり明らかにコッチャレットがイライラし始める展開。そりゃそうだよな、フォアスラなんかまったく棒立ちで腕のスイングだけで打ってるように見えるから、相手から見るとバカにされてる感じが出ちゃうんじゃないかな笑 でも彼女の、あの「パワーもスピードも一切ありません!」という、まったく新しいスタイルのテニス、見ていて本当に面白いと思う。だってフォアハンドの6〜7割がスライスかロブですよ? そんなことする人、これまでにいた? スライスでフォア側からボディ寄りへゆるゆるに返しといて、相手に「フォアスラ」「フォア側」を強烈に印象づけてからの、バック側へのフォア強打とかやるもんだから、コッチャレット一歩も動けませんみたいなシーンもあったし。フォアの強打も決して速くもないしパワーもないんだけど、緩急メッチャつくから速く見える。タチアナ・マリアが、確かフォアハンドもほとんどスライスで打つんだけど、彼女のスライスはけっこうベースラインあたりまで深く飛ばすフォアスラも多用するから、だいぶんイメージ違う感じ。伊藤さんの場合は、それに加えて、普通のラリーなのにときどき深いロブで返したりするトリッキーな配球だから、本当に面白い。
次はベスト8でエヴァ・リースが相手だけど、エヴァ・リースなら伊藤さん勝っちゃうんじゃないかな。相手はベースラインからの強打のタイプで、わりと一本調子な選手だし、安定感のある試合運びができるタイプでもないので。運良く勝ってベスト4に進んだら、もしかしてランキング150位ぐらいまで上がってくるのでは? それぐらいまで上げられると、ひょっとするとグランドスラムの予選に簡単に出られる? おー、がんばれ!
しかし彼女の場合、誰も見たことがないようなテニスをするので、今は相手が完全に戸惑ってしまっている、という面も大きいのは事実だと思う。あのテニスがみんなに覚えられてしまってからが本当の勝負だろうなあ。なにしろショットにパワーもスピードもないから、全球強打されると厳しくなりそうだし、いまのままではトップ40ぐらいの選手に勝つのはまだ難しそうかな。でも、あの面白いテニス、もっともっと見てみたいと思う。